新青年 (日本)

概要

『新青年』（しんせいねん）は、1920年に創刊し、1950年まで発行された日本の雑誌です。発行元は博文館で、後にいくつかの出版社へと移ります。モダニズムの影響を受けたこの雑誌は、都市に住むインテリの若者たちに支持され、探偵小説を中心に幅広い文化を紹介しました。

歴史

創刊時

『新青年』は1920年1月に起源を持ち、北海道移住をテーマにした記事からスタートしました。最初の頃は硬派な内容が多かったものの、その後の編集方針が変わり、翻訳探偵小説に焦点を当てるようになりました。これにより、探偵小説が日本において存在感を持つきっかけとなりました。

創刊号にはオースティン・フリーマンの作品が掲載され、翻訳小説の土台が築かれました。この傾向は徐々に固まり、他の娯楽雑誌が探偵小説を扱わない中で、『新青年』の専門性が増しました。

モダニズムの影響

1920年代から1930年代にかけて、『新青年』は探偵小説の執筆者たちにとって重要な場となります。特に、江戸川乱歩や横溝正史が活躍し、その作品は多くの読者を魅了しました。この時期、他の文壇作家も参加し、雑誌は多様な視点を提供しました。

編集者たちは常に新しい要素を取り入れることを心がけ、コラムやエッセイといった新しいコンテンツも充実させました。このような工夫により、雑誌は読者の興味を引き続けました。

戦時下の変化

しかし、1936年以降、日本が日中戦争に突入するにつれて、雑誌の内容は変化せざるを得なくなります。この影響を受け、戦争関連の記事が増えると同時に、探偵小説は徐々に減少しました。1940年代に入ると、軍に関連した内容が中心となり、探偵小説の数は減る一方でした。

戦後の復刊

1945年に雑誌が復刊されましたが、この時期の編集長が探偵小説をあまり好まなかったため、現代小説やユーモア小説が中心になっていました。1949年からは再び探偵小説色が強まるも、その後の経営は厳しく、1950年にはついに終刊となります。

影響と評価

『新青年』は、日本のミステリー文学や探偵小説に大きな影響を与えただけでなく、モダン文化も盛んに取り上げることで広範な読者層を魅了しました。探偵小説専門誌でもなかったものの、さまざまな時代の文化的変遷を反映し、今なおその存在は評価されています。現在は復刻版として多くの研究が行われ、関連イベントも開催されています。

歴代の編集長

森下雨村（1920年1月 - 1927年2月）
横溝正史（1927年3月 - 1928年9月）
延原謙（1928年10月 - 1929年7月）
水谷準（1929年8月 - 1937年12月）
上塚貞雄（乾信一郎）（1938年1月 - 12月）
水谷準（1939年1月 - 1946年9月）
横溝武夫（1946年10月 - 1948年3月）
高森栄次（1948年4月 - 1950年7月＝廃刊）

終わりに

『新青年』は日本における探偵小説書籍の草分け的存在であり、今日の文学界にもその影響を色濃く残しています。多くの探偵小説作家が生まれ、彼らの作品は現在も愛され続けています。

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