方響

方響（ほうきょう）

方響は、中国の伝統楽器の一つで、体鳴楽器に分類されます。この楽器は、編磬と似た構造を持ち、音の高低が異なる複数の長方形の鉄板を並べて吊るし、バチを使用して叩くことで旋律を奏でることができます。方響は八音の「金」に属し、金属の音を特徴としております。しかし、現代の中国ではほとんど見かけることがなく、他の地域への伝播が見られました。特に韓国に伝わり、日本にも伝わったものの、独自の発展は見られませんでした。

歴史

方響は、北周の時代、すなわち6世紀後半には存在していたとされており、当初は16枚の鉄板から構成されていた可能性があります。また、南朝の梁における「銅磬」という楽器が、方響の一形態であったと考えられています。唐の時代においても、燕楽で方響は利用されていました。

日本の歴史の中では、735年に吉備真備が唐から方響を持ち帰り、聖武天皇に献上しました。その後、正倉院には「鉄方響」として知られる方響に用いられた9枚の鉄板が現存しています。また、1875年（明治8年）に復元された模造品が東京国立博物館に所蔵されています。

宋・元の時代の燕楽においても方響は用いられていましたが、重要な点として、雅楽の中では使用されていませんでした。しかし、清時代の雅楽の一種である丹陛楽においては、方響は演奏に取り入れられています。

日本では、正倉院で復元された方響など、複数の方響が存在していますが、その伝承曲は今では失われてしまっています。そのため、近年では西洋音楽の曲や現代音楽などのアレンジに使用されることが多いです。

方響は、中国の音楽史の中で重要な役割を果たした楽器であり、その音色は特に金属的であり、時間を超えて新たな表現方法として利用されています。現在もなお、伝統音楽の枠を超えた多様な音楽シーンに浸透しつつあります。

脚注

• - 参考文献

- 楊蔭瀏『中国古代音楽史稿』 上冊、人民音楽出版社、1980年。
- 楊蔭瀏『中国古代音楽史稿』 下冊、人民音楽出版社、1981年。

関連項目

• - 磬
• - 鉄琴

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