旅芸人 (バレエ)

旅芸人（Les Forains）について

「旅芸人」（たびげいにん）は、1945年に初演された1幕のバレエ作品であり、振付はローラン・プティ、台本はボリス・コフノ、音楽はアンリ・ソーゲによるものです。この作品は、サーカスの一団を舞台にした物語を描いており、観客に夢と現実の狭間を楽しませる素晴らしい演技を提供します。

初演の背景

パリが解放された直後の1945年1月、ローラン・プティはオペラ座から退団し、新たな演劇表現を模索していました。彼はボリス・コフノに台本を作成するよう依頼し、コフノはアンリ・ソーゲに音楽を作曲してもらうよう手配しました。そうした背景の中、1945年3月2日にパリのシャンゼリゼ劇場で「ローラン・プティ」というタイトルの公演が行われ、ここで「旅芸人」が初めて上演されました。

初演は成功を収め、わずか21歳のローラン・プティはその才能を広く知られることとなります。その後もこのバレエはフランス国内外で多数公演が行われ、1951年11月までに449回の上演を達成しました。現在でも多くのバレエ団が再演を行い、多様な解釈で観客を魅了しています。

作品の特色

このバレエは、エリック・サティに捧げられています。作品全体には、サティの『パラード』を彷彿とさせる要素が散見されますが、彼の作品に見られる前衛的な独創性や奇抜さはあまり感じられません。ストーリーはシンプルながら、ちょっとしたサーカスの華やかさや色彩が加わり、観客に楽しさや感動を与えます。

オランダでは、この作品の初演に参加したダンサー、クリスティアン・フォワの振付により1958年から1959年にかけてオランダ・バレエで上演されました。

登場人物とあらすじ

物語は、サーカスの一団が街に到着し、小さな舞台を設営するところから始まります。そこで彼らは、少女や道化師、シャム双生児、ハトの手品、そして眠れる美女との手品師のパ・ド・ドゥ、その他のアクロバティックなショーなど、様々なパフォーマンスを披露します。しかし、観客は誰もお金を支払わずに帰ってしまい、この一団はショーの失敗に落胆しながら次の街へ向かうことになります。最後に、忘れられたハトの鳥籠を少女が取り戻し、劇は終わります。

音楽とダンス

作品の音楽は幅広いスタイルを取り入れており、プロローグは速い行進曲から始まり、「旅芸人たちの入場」は穏やかなワルツに続きます。各場面は異なる音楽スタイルで構成されており、手品師の魅力を引き立てるリズミカルなダンスと美しい旋律が融合しています。特に「旅芸人たちの入場」では、1955年にジャン・ドレジャックの歌詞が追加され、これがエディット・ピアフによって「旅芸人の道」として歌われることになりました。ピアフ自身もサーカスの背景を持ち、その素晴らしい演技に対する深い共感を持っていました。

結語

「旅芸人」は、その魅力的なストーリーと美しい振付により、今なお多くの人々に愛され続けているバレエ作品です。ローラン・プティの振付は、彼自身の若さと独創性を反映し、観客を魅了し続けています。再演を通じて、この作品の鮮やかな世界観がどのように受け継がれていくのか、今後も注目されます。

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