旗本退屈男 謎の幽霊船

旗本退屈男 謎の幽霊船

『旗本退屈男 謎の幽霊船』は、1956年7月12日に公開された日本の映画で、東映が制作・配給を手掛けた作品です。監督は松田定次が努め、主演には市川右太衛門が名を連ねています。シリーズの中でも特に印象深い第20作であり、初めてカラー映像を取り入れた作品としても知られています。全体の上映時間は90分で、イーストマンカラーで撮影されました。

この映画は、佐々木味津三の原作を基にしており、登場人物たちの独特なキャラクターやサスペンスが視聴者を引き込む要素となっています。興行的にも成功を収め、配収は1億8678万円に達しました。これは1956年度の邦画配収ランキングで第5位に位置する成果です。

あらすじ

物語は琉球王国から薩摩藩への貢ぎ船の中で踊る不気味な運命から始まります。ある日、船に突然現れた白装束の女性が不幸にも襲撃され、琉球王国の使者に命を奪われます。彼女の最期の瞬間、薩摩藩の家老である平田監物に対して重要なメッセージを伝えます。この事件をきっかけに、一連の怪事件が起こり、旗本退屈男こと早乙女主水之介が幕府の命令に従って薩摩を訪れることになります。

早乙女は関係者を伴い、真相を探る旅に出ますが、監物の娘・里枝の使者が殺害されるという衝撃的な出来事が彼の道をさらに困難にします。この事件が重くのしかかる中、早乙女は監物と共に琉球へ渡り、そこで数々の試練に立ち向かいます。

宿泊先では意外な襲撃を受けて命の危険にさらされますが、その中で彼は阿麻和利という王族の一族が真犯人であることを突き止めます。早乙女は知恵と勇気を駆使して事件の背後に潜む陰謀を解明しようと奮闘します。

スタッフとキャスト

映画のスタッフには、脚本を担当した比佐芳武をはじめ、撮影の川崎新太郎、音楽の深井史郎、美術の桂長四郎など、多くの才能が集結しました。また、照明を担当する田辺憲二、編集を手掛けた宮本信太郎、衣装考証を行った甲斐庄楠音など、各部門での協力が作品を引き立てています。

主要なキャストには、早乙女主水之介を演じる市川右太衛門を筆頭に、里枝役の高千穂ひづる、百踏を演じる勝浦千浪らが名を連ね、作品全体に活気と迫力が加わっています。また、阿麻和利を演じる進藤英太郎や、平田監物役の薄田研二といった実力派俳優陣の演技も見所の一つです。

この映画は、単なるアクション映画ではなく、ストーリーとキャラクターの深化を追求した作品であり、1956年における日本映画界の重要な位置を占めています。時代劇に新たな風を吹き込んだ『旗本退屈男 謎の幽霊船』は今なお多くの観客に愛され続けている作品です。

もう一度検索