既存添加物

既存添加物とは

既存添加物とは、1995年の食品衛生法改正により定められた既存添加物名簿に収録されている食品添加物のことを指します。1996年に既存添加物名簿が告示されました。

概要

既存添加物は、以前は天然添加物とも呼ばれており、行政資料でもそのように表現されていました。これは、かつて化学合成された添加物のみが指定されていたことへの対比として、既存添加物と呼ばれていた背景があります。

既存添加物名簿は、策定当初489品目が収載されていましたが、安全性の懸念や使用実態がないものが削除され、2011年5月6日時点で365品目が収録されています。ただし、これには「香辛料抽出物」や「高級脂肪酸」など、複数の製品を一括して扱う品目も含まれています。

既存添加物には、食品添加物のうち、習慣的に使用されてきた、比較的安全性が高いと考えられる物質が収録されています。しかし、厚生労働省は近年、既存添加物についても食品安全委員会による食品健康影響評価を行い、安全性の確認を進めています。リストは定期的に見直され、使用実績のない添加物は積極的に消除される傾向にあります。

安全性

1998年の調査では、既存天然添加物489品目のうち139品目に速やかな調査が必要とされましたが、残りは安全性が高いと結論付けられました。その後も安全性の報告が継続されています。

しかし、既存添加物の中には、アカネ色素のように遺伝毒性や発癌性が認められ、名簿から削除されたものもあります。また、「天然添加物」という名称から「既存添加物は指定添加物より安全である」と誤解されることもあります。指定添加物は、安全性に懸念されるタール色素などを含むため、安全性確認のための試験が行われ、使用基準が定められています。一方、既存添加物には、科学的知見に基づく安全性の確認がまだなされていないものも含まれています。

規格基準

食品衛生法に基づき成分規格や使用基準が定められている指定添加物とは異なり、既存添加物は、着色料など一部を除き、使用対象や使用量が限定されていませんでした。製造基準以外の規格基準も定められていませんでした。

しかし、2001年にウコン色素など60品目、3製剤について成分規格が制定されたことで、これらの既存添加物を製造する事業者は、食品衛生法に基づく添加物製造業許可の取得と食品衛生管理者の設置が必要となりました。2007年には、アカキャベツ色素を含む62品目に関わる63成分規格が制定されました。

一般飲食物添加物は、食品として飲食に供されるものであり、添加物として使用される場合には、その旨を製品に表示する必要があります。

付記

既存添加物の中には、以下のようなものがあります。

ニガヨモギ抽出物（苦味料）：アブサンに含まれる成分で、EUでは一時使用禁止になったものの、日本では問題視されていません。
粗製海水塩化マグネシウム（豆腐用凝固剤）：いわゆる「にがり」のことで、豆腐に使用した場合にのみ「にがり」と表示できます。

既存添加物は、私たちの食生活に深く関わっています。その安全性や規格基準について理解を深めることは、より安全な食生活を送る上で重要です。

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