日の光もなく

『日の光もなく』 - モデスト・ムソルグスキーの作品

概要

『日の光もなく』（ひのひかりもなく、露：Без солнца）は、1874年にロシアの作曲家モデスト・ムソルグスキーによって作曲された歌曲集です。この作品は全6曲から構成され、詩は遠縁であったアルセニイ・ゴレニシチェフ＝クトゥーゾフによるものです。Muソルグスキーとゴレニシチェフは、作曲当時一緒に生活していたため、彼の詩に寄せる思いが込められていると考えられています。

ムソルグスキーはこの作品を通じて厭世的かつ抒情的な気持ちを表現しており、その内容は歌曲集『死の歌と踊り』とも同様のテーマを持ちます。作品が完成した後、1875年2月には出版され、さらに1908年にはリムスキー＝コルサコフによる校訂版が制作されました。原曲はピアノ伴奏で構成されており、エフゲニー・スヴェトラーノフやエディソン・デニソフなどによる管弦楽伴奏版も存在し、様々な録音が行われています。

曲の構成

『日の光もなく』は、次の6曲からなります。各曲の内容はそれぞれ深遠で、聴く者に強い印象を与えるものです。

第1曲「周囲を壁に囲まれて」（В четырех стенах）

この曲では、孤独な部屋に閉じ込められた思いが描写されています。静けさの中に潜む影、そして切ない感情が歌われ、過去の幸せや希望を振り返る心情から深い悲しみがにじみ出ています。

第2曲「人混みの中で貴方は私に気付かなかった」（Меня ты в толпе не узнала）

この曲では、群衆の中で気付かれなかった恋への思いが表現され、愛の喜びや悲しみが交錯します。相手の視線を捉えた瞬間の高揚感が印象的です。

第3曲「騒がしい日は終わり」（Окончен праздный шумный день）

日が暮れた後、静寂に包まれた街を背景に、失った年月を振り返り、心の中の愛しい人を思い浮かべる、切ない感情が語られます。希望と迷いに揺れる気持ちが込められています。

第4曲「退屈するがいい」（Скучай）

この曲は、退屈が定められた運命の一部であることを示唆し、虚無感が漂っています。愛の言葉も真実の夢も、偽りの中に埋もれる様子が描かれています。

第5曲「悲歌」（Элегия）

霧が立ちこめる中、星が瞬いて、過去の思い出や未来への不安が描かれています。生の喧騒や群衆の嘲笑、未来の運命に対する恐れなど、様々な感情が交差する深い内容です。

第6曲「川のほとりで」（Над рекой）

最後の曲では、川のほとりでの思索が展開され、水の中の不思議な声に引き寄せられるような魅力と恐怖が表現されています。深みへの誘いに対する葛藤が音楽的に表現されています。

参考文献

本作品について詳細に知るためには、伊東一郎・一柳富美子編訳による「ムーソルグスキイ歌曲歌詞対訳全集」や、作曲家別名曲解説ライブラリー22「ロシア国民楽派」が参照されることが多いです。

外部リンク

• - 日の光もなくの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト

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