日下部表米

日下部 表米 (くさかべ の うわよね/ひょうまい)

日下部表米は飛鳥時代に活躍した著名な人物であり、日下部氏の始まりとされています。彼は官職として養父郡大領もしくは朝来郡大領を務め、後に孝徳天皇の子孫と系譜の中で結びつけられることもありました。一般的には日下部宿禰や表米宿禰とも呼ばれ、その存在は歴史的に重要なものです。

出自と出身

日下部表米は、開化天皇の皇子である彦坐王の血筋を引く但遅麻国造家の一族に属するという見解が一般的です。系図の記載では、孝徳天皇の子である有間皇子の子または弟であるとされていますが、この情報の信憑性には疑問符が付けられています。また、日下部氏が大化の改新の頃に大きな役割を果たしたことから、但馬君氏に代わって国造の地位を獲得したことが示唆されています。

鮑の伝説

日下部表米にまつわる最も興味深いのは、兵庫県朝来市にある赤淵神社の伝説です。この伝説によると、大化3年（647年）に新羅の軍船が但馬国に襲来するも、表米は丹後国の白糸浜で迎撃に成功します。敵軍を追い払う中で、突如として嵐に見舞われ、船が沈没の危機に陥ります。しかし、その際に海底から無数の鮑が浮かび上がり、彼の危機を救ったと伝えられています。

その後、表米は新羅の軍を隠岐国まで追い払うことに成功しますが、凱旋途中でも逆風に悩まされます。すると、再び鮑が船を持ち上げ、美しい船が現れ、その導きに従って丹後国の浦島港に無事に到着しました。この時、彼は大船に向かった際、誰もいないのを見て、竜宮の大鮑が輝いているのを認識しました。

表米はこの体験を海神の加護によるものと理解し、無事だった鮑を大切に衣服で包んで鎧箱にしまい、赤淵神社を建立して祀りました。その後、日下部氏の子孫たちは、鮑を特別なものとして扱い、決して食べることはなかったとされています。

墓所と祭所

赤淵神社の裏にある久世田加納丘には、日下部表米の墓所があるとの伝説が残されています。また、兵庫県朝来市には彼を祀る表米神社や俵米神社、赤淵神社があります。これらの神社は彼の存在を近代でも称え続ける場となっています。

系譜

日下部表米に関する系譜の詳細として、彼の父は笠古乃君であり、母や妻についての情報は不詳です。子供として日下部都牟自と日下部荒島が確認されています。彼の系譜は歴史的にも重要なものであり、彼の子孫たちはこの血筋を受け継いでいきました。

参考文献

• - 太田亮『姓氏家系大辞典』角川書店、1963年
• - 宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会、1986年

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