日下部鳴鶴

日下部 鳴鶴（くさかべ めいかく）

日下部鳴鶴は、天保9年8月18日（1838年10月6日）に生まれ、大正11年（1922年）1月27日に亡くなった日本の書家です。彼の本名は東作で、字は子暘、別号として東嶼や翠雨、野鶴、老鶴、鶴叟などが存在します。鳴鶴は日本近代書道の父と称されることが多く、その影響力は絶大です。

業績と影響

鳴鶴の書は、特に中国の六朝書からの影響を受けており、独特の力強い筆跡が特徴です。彼はそれまでの和様から唐様へと書法の基準を変革し、多くの弟子を育成することで、自身の流派である鶴門を確立しました。その弟子は3000人以上にのぼり、彼の教えを受け継ぐ書道家が多数存在します。鳴鶴は、書道教育においてもその功績を高く評価されているのです。

彼の生涯では、1000基以上の石碑を揮毫したとされ、その中でも特に有名な作品は大久保公神道碑です。この碑は、彼の最高傑作と称されています。鳴鶴の流派は、門下生の活躍により日本の書道界において重要な位置を占め続けています。

略歴

日下部鳴鶴は1838年に彦根藩士の家に次男として生まれ、若い頃から書道に才能を示しました。22歳の時には彦根藩士の日下部三郎右衛門の養子となり、しかしその後の1860年には藩主の暗殺により生活が困窮することとなります。上京して書道に専念し、明治維新後は新政府の一員としても活動しましたが、その後は書道に専念する決意をすることになります。

鳴鶴は特定の師につくことはしていないものの、貫名菘翁の書に深い影響を受け、また来日していた金石学者の楊守敬と共に学びました。独自の書風を確立しつつ、碑文に対する研究を重ねる中で多くの文人とも交友関係を築きました。また、全国で多くの碑を残し、その作品は文化財としても高く評価されています。

鳴鶴は1922年に肺炎のため85歳でその生涯を閉じます。その遺産は、書道界における彼の影響力の大きさを物語っています。

評価

日下部鳴鶴は、同時代の書家と比較すると、より規範的かつ教条的なスタイルを持っていたと評されることがあります。彼の書法は型に集約され、弟子に対してもその教えが強く影響を与えました。しかし、彼の流派である鶴門からも独自の書風を持つ弟子が輩出されており、必ずしも鳴鶴のスタイルのみが受け継がれたわけではありません。例えば、渡辺沙鴎や比田井天来らはそれぞれ独自の考えを持って学問を進めました。

主な作品と印章

鳴鶴は多数の作品を残していますが、その中でも『熊野馬渓遊草』や『論書詩屏風』、『三體千字文』などが特に注目されます。また、日本酒「月桂冠」の商品名ロゴも彼の作品として知られています。彼は400を超える雅印を所有しており、国立新潟大学が彼の印を管理していることでも知られています。

家族

彼の養子には日下部辨二郎がいます。このように、日下部鳴鶴は書道における多大な功績を残し、今なお高く評価されています。

もう一度検索