日号作戦

日号作戦の概要

日号作戦（にちごうさくせん）は、太平洋戦争末期の1945年に、日本が陸海軍合同で遂行した日本海での戦略物資の海上輸送作戦です。食糧不足が深刻化する中、最終的な本土決戦に備え、戦略物資を満州及び朝鮮半島からできる限り本土へ輸送することを目的としました。

背景

1945年3月以降、東南アジアとの南方航路が封鎖されたことで、日本にとって重要な航路は日本海経由のもののみとなりました。この航路は、本土の部隊や軍需物資の移動、さらには国民生活を支える食料輸送において不可欠でした。戦時下では、日本の食糧自給率は約80%であり、その残りは台湾や朝鮮半島、満州、さらには東南アジアからの輸入に依存していました。しかし、戦況が悪化する中で、シーレーンの遮断は食糧事情の悪化を招く恐れがありました。

1945年には天候不良や肥料不足により、重要な作物である小麦や米の収穫も厳しい状況にありました。食糧確保を最優先課題とする鈴木貫太郎内閣は、新たに始まった国家船舶制度を活用し、船腹を食料輸送に優先配分し始めました。

作戦計画

1945年6月、日本軍は陸海軍中央協定を締結し、「日号作戦」の実行を決定しました。この作戦の主な目的は、短期間でできるだけ多くの戦略物資を輸送することでした。作戦参加部隊は海上護衛総司令部指揮下の艦隊や航空機部隊が中心で、総勢約130隻の艦艇と航空機が動員されました。

輸送対象は主に食料関連であり、具体的にはモロコシや大豆、塩などが挙げられました。米の輸送はほとんど行われていませんでした。護衛方式は商船が自由航行して護衛艦艇で支援する従来の間接護衛から、護送船団による直接護衛へと変更されました。

作戦の進展

作戦は1945年6月28日に開始され、朝鮮半島沿岸からの港を起点に荷揚げ作業が行われました。北九州や北陸地方の港が利用され、物資を本土に供給するための資材も確保されました。しかし、船舶の不足や陸揚げ港の不完全さから、物資の滞留問題が発生しました。「飢餓作戦」と呼ばれるアメリカ軍による海上封鎖が進行する中でも、日本の海上輸送は続けられました。

7月中旬にはアメリカ軍による攻撃が強化され、特に北海道空襲などが行われました。この時期、多くの艦船が活動停止に追い込まれ、食料や石炭の輸送が著しく減少しました。それにもかかわらず、海上輸送実績は95万4千トンを達成し、目標の60万トンを大きく上回る結果となりました。これには多くの困難が伴いましたが、作戦は一応の成功を収めました。

ソ連の参戦と作戦の終焉

しかし、7月末にソ連が対日参戦を果たし、朝鮮半島からの食糧移送は急速に困難を極めました。8月には数十隻の商船が朝鮮半島から出発しましたが、ソ連軍の空襲によって多くの船が沈没しました。結果として、満州や朝鮮半島からの物資輸送は完全に停止し、その数日後、日本軍は降伏に追い込まれました。

このように、日号作戦は日本の戦局が厳しくなる中で実施され、戦略物資の輸送を試みましたが、多くの課題と犠牲を伴う結果となりました。

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