日本とインドネシアの関係

日本とインドネシアの関係は、第二次世界大戦後、歴史的、経済的、政治的なつながりが非常に強固なものへと発展しました。日本は、国際協力機構（JICA）を通じた開発援助において、インドネシアにとって重要な支援国です。一方で、インドネシアは日本にとって、液化天然ガスなどの天然資源の供給国として、非常に重要な存在となっています。両国は共にG20とAPECの加盟国です。

現在、インドネシアで働く日本人は約11,000人にのぼり、日本では約24,000人のインドネシア人が就労や研修を受けています。インドネシアは東京に大使館を、大阪に領事館を設置しています。一方、日本はジャカルタに大使館を、メダン、デンパサール、スラバヤに総領事館を、マカッサルに領事事務所を設けています。

両国の比較

歴史

植民地時代の関係

17世紀初頭、オランダ領東インド（現在のインドネシア）には、最初の日本人移住者が記録されています。17世紀には、朱印船貿易を通じて多くの日本人が東南アジアへ渡りました。また、1764年から日本人漂流民の孫太郎がボルネオ島で生活していた記録もあります。明治維新後、1898年のオランダ領東インドの記録では、614人の日本人が居住していたとされています。1909年には、日本はバタビアに領事館を設置しました。1920年代には、沖縄の漁師が北スラウェシに移住し始め、1939年にはインドネシアに6,349人の日本人が暮らしていました。

第二次世界大戦

1942年、日本は東南アジアに侵攻し、オランダ軍を破りました。当初、日本軍はインドネシアの人々から解放軍として歓迎されました。日本は、ボルネオ島、ジャワ島、スマトラ島などの重要な油田地帯を占領しました。日本による占領は、インドネシア人の民族意識を高める結果となりました。これは日本の政治的動機によるものでしたが、スカルノのような新しい指導者を生み出すきっかけとなりました。日本は、インドネシア人を戦争に動員するため、軍事訓練を施しました。しかし、この軍事訓練が、後のインドネシア独立戦争で大きな役割を果たすことになりました。1945年、日本はインドネシアの独立を約束しましたが、その直後に敗戦を迎えました。その後、インドネシアは1945年8月17日に独立を宣言しました。

第二次世界大戦中の日本に対する現代インドネシア人の評価

2008年の外務省による世論調査では、インドネシアでは第二次世界大戦中の日本に対する感情は複雑であることが示されました。しかし、全体的に見ると、他の東南アジア諸国と比較して、日本に対する肯定的な感情が強い傾向が見られました。

インドネシア共和国独立期の関係

約3,000人の旧日本軍兵士がインドネシアに残り、インドネシア独立戦争に参加しました。そのうち約3分の1が戦死し、残った者はインドネシアの英雄として顕彰されました。1958年、日本とインドネシアは平和条約を締結し、国交を樹立しました。

1960年代以降

1964年、東京オリンピックへのインドネシア選手団の参加をめぐり、国際オリンピック委員会 (IOC) を巻き込んだ問題が発生しました。1970年代には、日本の製造業がインドネシアへの工場建設を開始し、日本人駐在員が増加しました。日本の自動車業界もインドネシア市場に進出し、大きなシェアを占めるようになりました。しかし、1974年には反日暴動（マラリ事件）が発生し、日本はインドネシアとの関係を経済的視点だけでなく、文化交流も重視する方針に転換しました。1980年代以降、日本企業のインドネシアへの投資は増加の一途をたどっています。

インドネシア人の対日・対日本人感情

各種調査によれば、インドネシアにおける対日感情は非常に良好です。BBCワールドサービスの調査では、インドネシアは世界で最も親日的な国の一つとされています。2016年の外務省の調査でも、インドネシアは日本との関係を非常に好意的に捉えていることが示されました。

経済的関係

日本は、インドネシアに対し、自動車、電機部品、エネルギーなどの分野で長年にわたり投資を続けています。インドネシアは、天然資源の供給国としてだけでなく、製造業の人材供給地としても重要です。1200社以上の日本企業がインドネシアで活動しており、約30万人の現地人が雇用されています。近年、小売、メディア、日用品分野への日本企業の進出も増加しています。インドネシア経済の成長に伴い、日本からの投資も大幅に増加しています。

文化交流と観光

マラリ事件以降、日本は文化交流を重視するようになり、インドネシアにおける日本文化の人気が高まっています。特に若者の間では、J-POP、アニメ、漫画などのサブカルチャーが人気です。一方、日本人もインドネシアの伝統文化に関心を寄せています。また、インドネシアの経済発展に伴い、日本へ旅行するインドネシア人も増加しています。インドネシアでは70万人以上が日本語を学んでおり、日本語教育機関は2000近くあります。ジャカルタには、日本食レストランや日本食材店が集まる「リトル・トーキョー」と呼ばれる地区も存在します。

在日インドネシア人留学生

2022年5月時点で、日本には5,763人のインドネシア人留学生が在籍しており、留学生全体で5位となっています。イスラム諸国の中ではトップの規模を誇ります。

日本からの開発支援

日本はJICAを通じて、インドネシアに多額の開発支援を行っています。また、防衛分野での交流も活発化しており、自衛隊はインドネシア軍への能力構築支援を行っています。スマトラ島沖地震の際には、自衛隊が派遣されました。海上保安庁もインドネシアの沿岸警備隊に協力を行っています。

外交使節

記事内には、過去の在日インドネシア大使の名前が記載されています。

まとめ

日本とインドネシアの関係は、歴史的な経緯を踏まえつつも、経済、文化、人的交流など多岐にわたり、非常に緊密なものとなっています。今後も両国間の協力関係はさらに発展していくことが期待されます。

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