日本とエクアドルの関係

日本とエクアドルは、太平洋を挟んで位置する国同士であり、20世紀初頭から移民や外交を通じて関係を深めてきました。両国間の関係は、政治、経済、文化など、多岐にわたる分野で発展しており、相互理解と協力が促進されています。

歴史

日本とエクアドルの関係は、20世紀初頭の移民に端を発します。当時、日本政府は中南米諸国への移民を奨励しており、エクアドルもその対象の一つでした。しかし、ブラジルなど他の国と比べると、エクアドルへの移民は少数にとどまりました。

両国間の正式な国交は、1918年8月にワシントンD.C.で締結された通商条約によって樹立されました。同年、エクアドルは横浜に領事館を開設し、日本は1934年にエクアドルに公使館を設置しました。この時期には、エクアドルを代表する詩人・作家であるホルヘ・カレラ・アンドラーデが日本領事に任命されています。

第二次世界大戦中、両国の外交関係は一時的に途絶えましたが、1954年に国交が再開されました。1961年には、両国はそれぞれの大使館を設置し、東京に駐日エクアドル大使館、キトに在エクアドル日本国大使館が開設されました。

外交

日本はエクアドルとの友好関係を重視しており、エクアドル大統領の就任式には特派大使を派遣しています。過去には、安孫子藤吉、武藤嘉文、愛野興一郎、中山正暉、野坂浩賢、成重守重、村上誠一郎、浅野勝人、若林健太、西村康稔などが特派大使として派遣されました。

2016年には、武井俊輔外務大臣政務官が二国間関係強化のためにエクアドルを訪問し、2018年には佐藤正久外務副大臣が外交樹立100周年記念式典に出席しました。また、河野太郎外務大臣がエクアドルを訪問し、エクアドル外相との会談では、日本企業の進出や北朝鮮情勢、安保理改革などが話し合われました。

エクアドルからの要人訪日も活発に行われています。2002年にはグスタボ・ノボア大統領が、2010年にはラファエル・コレア大統領が、そして2018年にはレニン・モレノ大統領が訪日し、日本の総理大臣と首脳会談を行いました。これらの会談では、経済改革、生物多様性、そして両国間のさらなる交流促進について意見交換がなされました。

経済交流

日本はエクアドルに対し、これまで1000億円以上の経済援助を実施しており、その内容は防災、医療、エネルギー分野に重点が置かれています。技術協力としては「地震と津波に強い街づくりプロジェクト」、無償資金協力としては「チンボラソ県医療施設・機材整備計画」などが挙げられます。また、ガラパゴス諸島の生物多様性保護への支援も行っています。

エクアドルは産油国であり、日本への原油輸出が重要な貿易品目となっています。その他、バナナやウッドチップ、魚介類なども日本に輸出しています。一方、日本からは輸送機器や鉄鋼などの工業製品が輸出されています。2018年の貿易額は、エクアドルが輸出超過となっています。

2019年には、両国間で租税条約が締結され、二重課税の除去と脱税防止が取り決められました。これにより、両国間のビジネス障壁は下がり、日本企業の進出が促進されています。三菱商事はエクアドルに支店を設け、原油供給契約に入札しています。

文化交流

日本はエクアドルに対し、文化面での支援も行っています。エクアドル国立劇場を運営するベンハミン・カリオン・エクアドル文化会館（CCE）への音響・照明機材の譲渡や、国際ラテンアメリカ情報高等研究センター（CIESPAL）への地上デジタル放送機材の整備などが実施されています。

外交使節

両国間では、大使や公使が相互に派遣されています。以下は、過去に日本に派遣されたエクアドル大使・公使のリストです。

駐日エクアドル公使
グスタボ・ラレーア・コルドバ（1958～1959年）
駐日エクアドル大使
（臨時代理大使）ホセ・アヤラ・ラッソ（1963～1965年）
リシマコ・グスマン・アギーレ
（臨時代理大使）ボリバル・オケンド・イダルゴ
マルセロ・アビラ・オレフエラ（1989～1996年）
フアン・サラサール・サンチシ（1997～2000年）
（臨時代理大使）ヘルマン・ビセンテ・エスピノサ・クエンカ（2000～2001年）
マルセロ・アビラ・オレフエラ（再任、2001～2003年）
（臨時代理大使）ヘルマン・ビセンテ・エスピノサ・クエンカ（2003年）
アドルフォ・エルナン・アルバレス・ビジャゴメス（2003～2007年）
（臨時代理大使）フアン・フランシスコ・ラレーア・ミーニョ（2007～2008年）
フェルナンド・ハビエル・ポンセ・レイバ（2008～2011年）
(臨時代理大使)ボリバル・ビセンテ・トーレス・セバジョス(2011～2012年)
レオナルド・カリオン・エギグレン（2012～2017年）
（臨時代理大使）ダビド・ビジャゴメス（2017年）
ハイメ・バルベリス（2017～2022年）
(臨時代理大使)ゴンサロ・ヒルベルト・ゴンサレス・フィエロ（2022年）
セサル・アウグスト・モンターニョ・ウエルタ（2022年～）

まとめ

日本とエクアドルは、地理的には遠く離れているものの、移民、外交、経済、文化など、多岐にわたる分野で交流を深めてきました。今後も両国間の友好関係は、環太平洋のパートナーとしてさらに発展していくことが期待されます。

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