日本とギリシャの関係

日本とギリシャは、1899年に修好通商航海条約を締結して以来、国交を樹立しました。両国関係は、第二次世界大戦による一時的な中断があったものの、現在までおおむね良好な関係を維持しています。

歴史

1899年 6月、日本とギリシャは修好通商航海条約を締結し、正式に国交を開始しました。その後、1918年には東京にギリシャ公使館が設置され、本格的な交流が始まりましたが、第二次世界大戦勃発により一時的に国交は断絶しました。しかし、戦後には国交が回復し、両国はそれぞれの首都に大使館を設置しました。以降、両国は様々な分野で友好的な関係を築いています。

外交

国交樹立以来、両国は第二次世界大戦による一時的な断絶を除き、平和的な友好関係を維持しており、政治的な連携も少なくありません。1919年のパリ講和会議では、戦勝国となった日本が人種差別撤廃を提案した際、アメリカやイギリスが反対する中、ギリシャは日本の提案を支持しました。また、日本がG4諸国と協力して国際連合安全保障理事会の常任理事国入りを目指す際にも、ギリシャは日本の参加を支持しています。さらに、両国はバルカン半島の平和維持にも協力しており、ヨーロッパにおける重要な外交パートナーとなっています。

要人の往来も活発で、2002年にはギリシャ首相がビジネスマンやジャーナリストを伴って訪日し、2005年にはギリシャ議会議長が日本科学未来館を訪問しました。一方、日本からは小泉純一郎首相がEU-日本サミットの開催にあたり、議長国であったギリシャを訪問しています。

経済関係

2019年の貿易額は、対日輸入が623億円に対し、対日輸出は585億円でした。2013年を除き、日本側の輸出超過が続いていますが、両国の差は縮小傾向にあります。ギリシャは日本からの投資が少ないものの、関心を示す企業が増えています。主な対日輸入品は船舶、一般機械、自動車、自動車部品、二輪自動車であり、主な対日輸出品はたばこ、石油製品、綿花、アルミニウム、果実などです。

文化交流

観光面では、ギリシャは日本でも人気の観光地であり、2014年1月から9月までの日本人観光客は17,878人に上るなど、着実に増加しています。文化面では、アレクサンダー大王に関する考古学展が開催されたり、ギリシャの文学作品『ホメロス』が能の題材になるなど、学術・芸術分野での交流が進んでいます。また、東京都がオリンピック開催に意欲的な姿勢を示していることもあり、オリンピック発祥の地であるギリシャとのスポーツ交流も盛んです。2009年には、両国友好110周年を記念して大規模な文化展が開催されました。

2021年11月には、ギリシャ初の日本庭園となるアテネ日本庭園の起工式が執り行われ、2022年7月には開園後初の夏祭りイベントが開催されました。これらのイベントには、アテネ市長、駐ギリシャ日本大使、政府関係者などが出席し、両国の友好関係を象徴する出来事となっています。

外交使節

駐ギリシャ日本大使・公使

(内容は省略)

駐日ギリシャ大使・公使

駐日ギリシャ公使
ディモステニス・ヴティラス（1918～1920年）
スピリドン・コンスタンティニディス（1920～1921年）
ヨアニス・パパス（1921～1922年）
空席（1922～1939年）
アサナシオス・G・ポリティス（1939年）
駐日ギリシャ大使
ゲオルギオス・クスタス（1960～1962年）
アレクシス・リアティス（1962～1965年）
ニコラウス・ハッジ・ヴァシリウ（1965～1967年）
ディミトリス・アヴラミディス（1967～1971年）
テミストクレス・フリサンソプロス（1971～1975年）
ヨアニス・カビオティス（1975～1980年）
クレオン・カツァビス（1980～1983年）
コンスタンティノス・リベロプロス（1983～1985年）
ギオルゴス・リアニス（1985～1990年）
コンスタンティノス・ヴァシス（1990～1993年）
ギオルゴス・シオリス（1993～1998年）
イリアス・カツァレアス（1998～2002年）
キリアコス・ロドゥサキス（2002～2006年）
ヨアニス・ヴァヴァス（2006～2009年）
（臨時代理大使）アンドレアス・フリガナス（2009年）
ニコラオス・ツァマドス（2009～2015年）
（臨時代理大使）ゲオルギオス・スティリャノプロス（2015年）
ルカス・カラツォリス（2015～2018年）
（臨時代理大使）ゲオルギオス・パルテニウ（2018年）
コンスタンティン・カキュシス（2018～2021年）
（臨時代理大使）ゲオルギオス・パルテニウ（2021～2022年）
ディミトリオス・カラミツォス＝ジラス（2022～2024年）
（臨時代理大使）スティリャノス・フルムジアディス（2024年）
ニコラオス・アルギロス（2024年～）

駐日ギリシャ大使館

住所: 東京都港区西麻布3-16-30

希土戦争における日本船の伝承

希土戦争中、イズミルを占領していたギリシャ人やトルコ軍の迫害を恐れるアルメニア人などが、船でギリシャに脱出しました。各国の船が自国民の乗船を優先する中、日本の商船「Tokeimaru」は、積み荷を投棄したり、トルコ側による難民への妨害を牽制したりしながら、約800人のアルメニア人やギリシャ人らを救出したと伝えられています。この出来事は多くのギリシャ人の間で語り継がれており、2017年には「Tokei Maru」という題の短編アニメ映画も制作されました。

しかし、「Tokeimaru」に関する伝承には不明な点も多く、船の詳細は長らく不明でした。近現代史研究者の調査の結果、1922年に東地中海を航行していた「東慶丸（とうけいまる）」という船が「Tokeimaru」と響きが似ており、当時の船長が愛知県出身の「日比左三」という人物であることが判明しました。さらに、左三の母親が熱心なキリスト教正教会の信者であったことも明らかになっています。

脚注

(内容は省略)

参考文献

萩野矢慶記著『ギリシャを知る世界遺産とエーゲ海』PHP新書（2004）
ギリシャ共和国（Hellenic Republic）基礎データ　外務省

外部リンク

在ギリシャ日本国大使館
同（ギリシア語）

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