日本とクロアチアの関係

日本とクロアチアの関係

日本とクロアチアは、歴史的に深い友好関係を築いてきました。両国は、過去には同盟関係を結んでいた時期もあり、現代では準同盟国として、様々な分野で協力関係を深めています。

歴史

明治維新以前

明治維新以前の日本とクロアチアの間には、直接的な交流は確認されていません。クロアチアは当時、オーストリア帝国の支配下にあり、日本との接点は限られていました。しかし、13世紀末にマルコ・ポーロが著した『東方見聞録』で日本が「ジパング」として紹介されたという説があり、これが両国の最初の接点であったとも言えます。

クロアチア＝スラヴォニア王国時代

1868年から1918年まで、クロアチアはオーストリア＝ハンガリー帝国の一部であり、日本との外交関係は、オーストリア＝ハンガリー帝国を介して行われました。1914年に第一次世界大戦が勃発すると、日本は連合国側として、オーストリア＝ハンガリー帝国に宣戦布告。形式上、クロアチアも日本と交戦状態となりましたが、クロアチアは実質的に外交権を持っていなかったため、独立国としてのクロアチアが日本と交戦したことは一度もありません。

ユーゴスラビア王国時代

第一次世界大戦後、クロアチアはユーゴスラビア王国の一部となりました。この期間、日本とクロアチアの間に直接的な外交関係はありませんでした。

クロアチア独立国時代

1941年、クロアチアは独立を宣言し、クロアチア独立国が成立します。日本は同国を承認し、日独伊三国同盟に加わったことから、両国は同盟関係を結びました。しかし、日本はイタリアとの関係を重視したため、クロアチア国内には在外公館を設置しませんでした。1943年になって、ようやくベルリン駐在の外交官がザグレブに事務所を開設。その後、公使館に昇格しました。

クロアチア社会主義共和国時代

第二次世界大戦後、クロアチアはユーゴスラビア社会主義連邦共和国の一部となり、クロアチア社会主義共和国として再編されました。日本はユーゴスラビアとの国交を樹立しましたが、この間、日本とクロアチアの外交関係はユーゴスラビア連邦政府を介して行われました。

クロアチア共和国時代

1991年、クロアチアはユーゴスラビアから独立を宣言。日本は1992年にクロアチアを主権国家として承認し、1993年に正式な国交を樹立しました。その後、両国は大使館を相互に開設し、交流を深めています。
2009年、クロアチアがNATOに加盟したことで、日米安保体制下にある日本とは、アメリカを共通の同盟国とする準同盟関係となりました。2011年の東日本大震災の際には、クロアチア国民から多くの義援金が送られ、両国の連帯が示されました。

経済

日本からクロアチアへの主な輸出品は自動車や電気機器であり、クロアチアから日本への主な輸出品はマグロやワインです。

防衛交流

2013年には、海上自衛隊の練習艦「かしま」がクロアチアを初訪問し、両国の防衛交流が促進されました。

文化交流

姉妹都市

日本とクロアチアの間では、いくつかの都市が姉妹都市提携を結んでいます。川崎市とリエカ、京都市とザグレブ、碧南市とプーラが姉妹都市として交流しています。また、十日町市はクロアチアのホストタウンとして、交流を深めています。

スポーツ

サッカーや格闘技を通じて、両国の交流が盛んです。三浦知良や伊野波雅彦などの日本人選手がクロアチアでプレーし、ゴラン・ユーリッチやイゴール・ツビタノヴィッチといったクロアチア代表選手も日本で活躍しました。FIFAワールドカップでは、両国は過去3度対戦しており、2022年の対戦ではクロアチアが勝利しました。また、格闘技ではミルコ・クロコップが日本で人気を博し、プロレスラーのグレート・アントニオもクロアチア出身です。テニスでは、錦織圭がクロアチアの選手と対戦することで、クロアチアのテニスが日本でも注目されるようになりました。

音楽

NHK交響楽団の名誉指揮者として知られるロヴロ・フォン・マタチッチはクロアチア出身です。ザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団では、1990年に大野和士が首席指揮者に就任し、日本公演も行いました。

クロアチアにおける俳句

数学者のヴラディミル・デヴィデ博士は、俳句の研究、普及に貢献し、クロアチアに俳句文化を広めました。レネ・マトウシェクも俳句に影響を受けた一人ですが、ユーゴスラビア内戦で命を落としました。現在では、彼の名前を冠した国際俳句会合も開催されています。

教育

日本におけるクロアチア語教育

日本では、高等教育機関でクロアチア語の専門課程は設けられていませんが、外国語科目としてクロアチア語の講座が開講される大学もあります。1998年には、日本語で書かれた初のクロアチア語文法書が刊行され、東京大学でクロアチア語講座が開始されました。

クロアチアにおける日本語教育

クロアチアでは、ザグレブ大学に日本語コースが開設され、高校でも日本語教育が普及しつつあります。また、日本語教師会も活発に活動しており、全国スピーチコンテストも開催されています。

外交使節

両国は、相互に大使館を設置しており、外交関係を円滑に進めています。

まとめ

日本とクロアチアは、歴史的に友好関係を築き、近年では準同盟国として、政治、経済、文化、教育など、多岐にわたる分野で交流を深めています。両国の今後の更なる関係発展が期待されます。

もう一度検索