日本とポルトガルの関係

日本とポルトガルの関係



日本とポルトガルは、16世紀の大航海時代に出会い、交易と文化交流を通じて深い関係を築きました。しかし、江戸時代の鎖国政策により一時的に関係が途絶え、その後、明治維新を経て再び交流が始まりました。この記事では、両国の歴史的なつながり、文化的な影響、そして現代における関係について詳しく解説します。

歴史



鎖国まで



16世紀初頭、ポルトガルは東南アジアに進出し、日本近海にも活動範囲を広げました。1543年にはポルトガル商人が種子島に漂着し、鉄砲が日本に伝えられました。これをきっかけにポルトガルとの間で南蛮貿易が開始され、多くのポルトガル人が日本を訪れるようになりました。貿易と共にキリスト教の布教も盛んになり、フランシスコ・ザビエルなどの宣教師が来日し、キリスト教は日本社会に一定の影響を与えました。1557年にはポルトガルはマカオの居留権を獲得し、マカオと九州を拠点に貿易を展開しました。

1603年にはイエズス会によって『日葡辞書』が編纂され、中世日本語とポルトガル語の研究にとって貴重な資料となっています。

しかし、1587年に豊臣秀吉がバテレン追放令を発令し、ポルトガルとの関係は徐々に悪化しました。江戸時代に入ると、徳川幕府はキリスト教を禁止し、ポルトガル人の来航を制限しました。1639年にはポルトガル船の入港が完全に禁止され、日本とポルトガルの直接的な関係は一時的に断絶しました。

ポルトガルによる日本人奴隷貿易



ポルトガルは、16世紀に日本人の奴隷貿易を行っていました。これは、宣教師によって問題視され、ポルトガル本国を含む海外で日本人が奴隷として売買された記録が残っています。宣教師たちは、奴隷貿易を禁止するように働きかけましたが、完全には阻止できず、奴隷の待遇を改善するための介入を行いました。奴隷の境遇は黒人奴隷と同等であったと言われていますが、ポルトガル社会に同化し、自由を手に入れることもできたとされています。

開国後



1854年の日米和親条約締結後、日本は開国し、1860年にはポルトガルとの間で日葡修好通商条約が締結され、215年ぶりに通商が再開されました。第一次世界大戦では、両国は連合国として共に戦いました。第二次世界大戦中には、日本軍がポルトガル領ティモールを占領し、一時的に外交関係が途絶えましたが、戦後、1953年に外交関係が回復しました。

戦後



戦後、ポルトガルは独裁体制から民主化へと移行し、欧州共同体（EC）に加盟しました。また、マカオ返還や東ティモール独立によりアジアにおける領土を失いましたが、日本との友好関係は安定しています。1993年にはポルトガル人種子島来航450周年記念行事が開催され、2010年には両国修好150周年を記念したイベントが開催されました。

経済関係



現在の両国間の経済関係は、16-17世紀と比較すると小規模ですが、貿易は継続しており、日本からの輸出は自動車や電気機器、ポルトガルからの輸出は衣料品やコルクなどが中心です。日産自動車がポルトガルに電気自動車用リチウムイオン電池生産工場を建設するなど、両国間の経済協力も行われています。

文化交流



日本とポルトガルは、経済関係は小さいながらも文化交流は盛んです。ポルトガルからもたらされた言葉や文化は、日本社会に定着しています。また、ポルトガルの旧植民地であるブラジルに渡った日本人移民の子孫が、日本で働くなど、ポルトガル語と接する機会も増えています。音楽や格闘技など、ブラジルやポルトガルの文化が日本に紹介され、ファドは日本にも愛好者がいます。

年表




外交使節




脚注



  • - 注釈
  • - 出典

参考文献




関連項目




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