金七紀男

金七 紀男（きんしち のりお）氏は、1940年に満洲国で生まれた日本の歴史学者です。特にポルトガル史およびブラジル史を専門とし、日本国内においてはポルトガル史研究の第一人者として高い評価を得ています。

氏の学歴は、東京外国語大学外国語学部でのポルトガル・ブラジル語学科卒業に始まります。その後、東京大学大学院人文科学研究科西洋史学専攻に進み、修士課程を修了、博士課程は中途退学しています。大学院では、主にポルトガル近世史を研究テーマとしました。

教育者としてのキャリアは、母校である東京外国語大学でスタートしました。外国語学部で講師、助教授を経て、教授に昇進しました。長年にわたる教育と研究への貢献が認められ、2003年4月には同大学から名誉教授の称号が授与されました。東京外国語大学を離れた後も、2009年3月まで天理大学国際文化学部の教授として教壇に立ち続けました。

金七氏の研究活動は多岐にわたり、その中心はポルトガル史とブラジル史にあります。特にポルトガル史に関する深い学識は、日本における同分野の研究を牽引してきました。

学術的な業績として、多数の著作を発表しています。ポルトガル史やブラジル史に関する専門書を単著として刊行する一方、他の研究者との共同研究や共編著も手がけています。また、歴史研究だけでなく、語学分野にも貢献しており、白水社から出版されている『現代ポルトガル語辞典』の主要な編者の一人としてもその名を知られています。

以下に、金七紀男氏の主な著作、共著、共編著、訳書をリストアップします。

著作

単著

『ポルトガル史』（彩流社, 1996年／増補版, 2003年／増補新版,2010年）
『エンリケ航海王子――大航海時代の先駆者とその時代』（刀水書房, 2004年）
『ブラジル史』（東洋書店, 2009年）
『図説 ポルトガルの歴史』（河出書房新社, 2011年）
『図説 ブラジルの歴史』（河出書房新社, 2014年）

共著

（住田育法・高橋都彦・富野幹雄）『ブラジル研究入門――知られざる大国500年の軌跡』（晃洋書房, 2000年）

共編著

（池上岑夫・高橋都彦・富野幹雄）『現代ポルトガル語辞典』（白水社, 1996年／改訂版,2005年）

訳書

アントニオ・デ・スピノラ『ポルトガルとその将来　国家の現状分析』（時事通信社、1975年）
フレデリック・モーロ『ブラジル史』（白水社［文庫クセジュ］, 1980年）
（編訳）A・H・デ・オリヴェイラ・マルケス『世界の教科書＝歴史　ポルトガル』（ほるぷ出版, 1981年）
A・ソウト・マイオール『ブラジル』（ほるぷ出版, 1982年）
（共訳）G・バラクラフ『歴史学の現在』（岩波書店, 1985年）
マヌエラ・アルヴァレス、ジョゼ・アルヴァレス『ポルトガル日本交流史』（彩流社, 1992年）
ジョゼ・アルヴァレス『日葡修好通商条約と外交関係史　1860～1910』（彩流社, 2010年）

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