日本とモザンビークの関係

日本とモザンビークの関係は、1975年のモザンビーク独立を日本が承認したことから始まりました。1977年には外交関係が樹立されましたが、モザンビーク内戦の影響で、当初は在タンザニア日本大使館が兼轄していました。その後、兼轄先が在ジンバブエ大使館に移り、1993年には平和維持活動（PKO）のために自衛隊が派遣された際、現地に兼勤駐在官事務所が開設されました。PKO終了後、兼勤事務所は閉鎖されましたが、1999年からは在南アフリカ日本大使館が兼轄し、2000年にようやく在モザンビーク日本大使館が開設されました。

一方、モザンビークは1984年から在中国大使館が日本を兼轄し、1993年に東京に大使館を開設しました。

モザンビーク内戦と日本のPKO派遣

1977年からモザンビークでは、モザンビーク解放戦線（FRELIMO）とモザンビーク民族抵抗運動（RENAMO）の内戦が続いていました。冷戦時代には、ソ連がFRELIMOを、南アフリカがRENAMOを支援していましたが、冷戦終結とアパルトヘイト終焉により、両勢力は支持基盤を失いました。1992年、ローマで包括和平協定が調印され、内戦は終結。国際連合モザンビーク活動（ONUMOZ）としてPKOが展開され、日本も自衛隊を派遣して停戦監視や選挙支援を行いました。これは、カンボジアに続く二例目の自衛隊PKO派遣でした。

この経験から、モザンビークは日本の安全保障分野での役割を好意的に見ており、日本の国連安保理常任理事国入りを支持しています。

首脳会談と外交

近年、両国間の外交は活発です。2007年と2008年には、当時のモザンビーク大統領アルマンド・ゲブーザが来日し、安倍晋三首相と会談しました。モザンビークの常任理事国入り支持に対し、日本側から感謝が述べられたほか、北朝鮮問題についても意見交換が行われました。また、モザンビークのインフラ整備やマラリア対策への支援も約束されました。

2013年には、ゲブーザ大統領がアフリカ開発会議（TICAD）のために再び訪日し、日本製鉄のCEOと会談しました。これは、同社がモザンビークの原料炭開発プロジェクトの採掘権を取得したことに関連しています。

2016年には、安倍首相がナイロビでのTICAD会議中に、モザンビークの新大統領フィリッペ・ニュシと会談。翌年にはニュシ大統領が訪日し、「自由で開かれたインド太平洋戦略」における重要国として、両国関係強化のための共同声明が発出されました。さらに、インフラ開発のための無償資金協力も約束されました。

2019年には、モザンビークのジョアキン・アルベルト・シサノ元大統領がTICADのために来日し、安倍首相と懇談しました。2020年には、茂木敏充外務大臣がモザンビークを訪問し、ニュシ大統領と「自由で開かれたインド太平洋」に向けた連携を確認。2023年には、岸田文雄首相がアフリカ歴訪でモザンビークを訪問し、ニュシ大統領との首脳会談で、安全保障理事会での協力やLNGプロジェクトでの連携、自由で開かれたインド太平洋戦略の推進を確認しました。

経済交流

モザンビークは良質な石炭の産出国であり、日本は資源開発に関心を寄せています。2013年には日本製鉄が原料炭炭鉱の採掘権を取得し、2014年には両国間で石炭開発に関する覚書が交わされました。日本は、石油天然ガス・金属鉱物資源機構を通じて技術者を派遣するなど、モザンビークの石炭開発を支援しています。その結果、日本の対モザンビーク貿易は輸入超過となっています。ただし、2020年のコロナ禍や脱石炭の流れにより、2021年には三井物産がモザンビークの石油開発から撤退するなど、状況は変化しつつあります。

日本はモザンビークに対して多額の開発援助も行っており、その額は累計で2000億円を超えています。援助内容は教育、医療、農業、インフラ整備など多岐にわたります。しかし、一部の支援プロジェクト（プロサバンナ事業）は、伝統的な農業文化を破壊するという批判を受け、モザンビークの意向を受けて中止されました。

文化交流

モザンビークでは柔道が人気があり、日本は柔道着や機材の無償提供を行っています。また、在モザンビーク日本大使館は、柔道大会やコンサートなどの文化交流イベントを開催しています。

2019年には、横浜市長がマプト市長を訪問し、「アフリカのきれいな街プラットフォーム」設立に関わったことをきっかけに、両市間の協力関係が深まっています。

外交使節

日本はモザンビークに大使を派遣しており、モザンビークも日本に大使を派遣しています。過去には、北京駐在の大使が日本を兼轄していた時期もありました。

まとめ

日本とモザンビークの関係は、内戦終結後の復興支援から始まり、資源開発やインフラ整備における協力へと発展してきました。両国は、相互の発展のために協力関係を深める一方で、開発援助における課題にも直面しています。今後も、両国が相互理解を深め、より良い関係を築いていくことが期待されます。

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