日本における学校職員の種類

学校職員の種類

学校には、教育活動を円滑に進めるために様々な職種の職員がいます。ここでは、学校職員の種類と、それぞれの職務内容について詳しく解説します。

職位

総長

法令に規定はありません。
大学や高等学校など複数の学校を設置する学校法人において、連合体をなす場合に置かれることがあります。
職務は設置者や法人によって異なりますが、学校法人の理事長が兼務する事例が多いです。
国立大学法人法では、国立大学法人の役員の長は学長と定められていますが、旧帝国大学では慣例として学長を総長と称することがあります。

校長（学校長）・園長・学長

学校教育法で規定されている職です。
大学および幼稚園を除く学校は校長、幼稚園は園長、大学は学長がそれぞれ最上位の職位として必置されています。
校長は校務を司り、所属職員を監督します。学校長とも呼ばれます。
学長は校務を司り、所属職員を統括します。教授や専任事務職員から選出されることが多いです。
校長、園長、学長は、教員とは区別して扱われることが多く、管理職に該当します。

副校長・副園長・副学長

学校教育法で規定されている職です。
大学および幼稚園を除く学校は副校長、幼稚園は副園長、大学は副学長が置かれます。高等専門学校には法令上の規定はありません。
東京都では教頭を「副校長」と称しており、副校長を置いている学校では教頭の設置が免除されます。
副校長、副園長、副学長は、それぞれ校長、園長、学長を補佐し、指示を受けて校務や園務を司ります。
副学長は大学教員であり、教授や専任事務職員から選出されることが多いです。
教員として扱われることもありますが、一般的には管理職とされます。

学部長・短期大学部長・研究科長（高等教育のみ）

学校教育法で規定されている職です。
研究科長、高等専門学校の副校長、短期大学部長は法令に規定はありません。
小中高における教頭と同じ役割を果たします。
学部長は学部に関する校務を司ります。教授会の選挙で選任されることが多いです。
短期大学部長は、大学に併設された短期大学部に置かれる役職です。
研究科長は大学院の研究科に関する校務を行います。大学院重点化を実施する大学では、基盤学部の学部長が兼任することが多いです。
一般に管理職として扱われます。単科大学では、副学長が学部長を兼任することが多いです。

学科長・課程長・専攻長（高等教育のみ）

法令に規定はありません。
高等教育機関の学科長、課程長、専攻長は、学校職員の充て職です。
大学では、学部長や研究科長を補佐し、学科、課程、専攻に関する校務を整理します。短期大学では、学長や短期大学部長を補佐し、学科に関する校務を行います。
管理職とみなされることもあります。

教頭・副教頭（高等教育を除く）

教頭は、校長、園長、副校長、副園長を補佐し、校務を整理し、必要に応じて幼児の保育、児童や生徒の教育を司ります。
高校では副校長を置かない限り、それ以外の学校では副校長・副園長を置くか、その他の特別な理由がある場合を除いて必置です。
教員の一群として扱われることが多いですが、一般に管理職として扱われます。
教頭を2名置いている学校では、経験年数の少ない方を「副教頭」と通称することが多いです。

主幹教諭・指導教諭（高等教育を除く）

主幹教諭は、校長、園長、副校長、副園長、教頭を補佐し、指示を受けて校務の一部を整理し、必要に応じて幼児の保育、児童や生徒の教育を司ります。
学校の実情に応じて、「養護をつかさどる主幹教諭」や「栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭」を置くこともできます。
指導教諭は、幼児の保育、児童や生徒の教育を司り、教諭その他の職員に保育・教育の改善と充実のために必要な指導及び助言を行います。
東京都や大阪府などでは主幹教諭を原則必置とし、大阪府などでは「首席」と称します。
教員の一群として扱われることが多いですが、一般に管理職には含まれません。

主任・主事（就学前教育から高等教育に共通）

一部について学校教育法施行規則や各都道府県条例などが規定しています。
教員の充て職として考えられています。
大学や高等専門学校の主任は、教育研究の単位となる講座や学科目、研究室などを率いる者が充てられます。
幼稚園、小学校、中学校、高等学校などでは、校務分掌における主任や主事に教諭や指導教諭が充てられます。
中学校では、教務主任、学年主任、保健主事、生徒指導主事、進路指導主事は必置と定められています。
自治体によっては、教科主任を必置とするなど、規定が加えられることもあります。
特に高度な知識や経験を要する教諭や養護教諭に、主任教諭や主任養護教諭などの職階を設ける自治体もあります。
一般に管理職には含まれません。
高等専門学校の主事は、教務主事、学生主事、寮務主事があり、それぞれ学校教育、学生生活、寮生活等を掌ります。副校長相当の管理職に該当します。

教員（一般的な教員）

学校教育法で規定されている職です。
学生、生徒、児童などに教育などを行います。
就学前教育から中等教育の課程を担当する場合は、原則として教育職員免許状が必要です。
教諭は幼児の保育、児童や生徒の教育を司り、助教諭は教諭の職務を助け、講師は教諭又は助教諭に準ずる職務に従事します。
高等教育では、教授、准教授、助教、講師などの職階が学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事します。助手は、所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事します。
教諭は特別な事情で助教諭を代替する場合を除き必置です。教授は必置ですが、准教授、助教、助手は教育研究上の組織編成として適切と認められる場合は配置しなくてもよいとされています。
副校長、副園長、副学長、教頭、学部長、研究科長、養護教諭、栄養教諭なども教員の一群として扱われることが多いです。
講師に関しては非常勤の場合もあります。

養護教諭・養護助教諭

学校教育法で規定されている職です。
就学前教育から中等教育で、幼児、児童及び生徒の養護を司ります。
主に怪我や疾病の応急処置、健康診断、身体測定など、在校生の健康管理を行います。
小学校、中学校、特別支援学校は、養護をつかさどる主幹教諭を配置する場合や特別な事情で養護助教諭を代替する場合を除いて必置です。

養護職員・保健職員・医務職員

学校関係の法令に規定はありません。
学校の保健業務を、養護教諭、養護助教諭、学校医のもとで務めます。
准看護師、看護師、助産師、保健師などが多いですが、必須要件ではありません。

栄養教諭

学校教育法で規定されている職です。
幼児、児童及び生徒の栄養の指導及び管理を司ります。
養護教諭と連携し、児童、生徒の発育に必要な栄養状態の管理や栄養教育を務めます。
2005年に新設された職で、栄養教諭普通免許状が必要です。
多くの学校では、1〜2人が複数校を担当しています。

学校栄養職員

学校給食法で規定されている職です。
学校給食の栄養に関する専門的事項を司ります。
管理栄養士もしくは栄養士の免許が必須です。

学校医・学校歯科医・学校薬剤師

学校保健安全法で規定されている職です。
学校における保健管理に関する専門的事項に関し、技術及び指導に従事します。
医師、歯科医師、薬剤師の中から任命ないし委嘱されます。
学校医はすべての学校に、学校歯科医および学校薬剤師は大学を除くすべての学校に配置が定められています。
非常勤職員が多いです。学校薬剤師は、学校薬事衛生、学校環境衛生の維持管理に関する専門的事項や指導・助言者の職務が義務付けられています。2009年からは健康相談、保健指導にも従事するよう求められています。

実習助手（後期中等教育のみ）

学校教育法で規定されている職です。
実験又は実習について、教諭の職務を助けます。
後期中等教育段階を含む学校に配置されます。

部活動指導員（中等教育のみ）

学校教育法施行規則で規定されている職です。
学校におけるスポーツ、文化、科学等に関する教育活動（学校の教育課程として行われるものを除く）に係る技術的な指導に従事します。
中等教育段階を含む学校に配置されます。

スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー

学校教育法施行規則で規定されている職です。
スクールカウンセラーは、幼児、児童及び生徒の心理を支援します。
スクールソーシャルワーカーは、幼児、児童及び生徒の福祉を支援します。
文部科学省の任用規程では、臨床心理士、精神科医、大学教員が資格要件です。
公立の初等中等教育機関へのスクールカウンセラーの配置や派遣は2001年度以降に制度化されました。

事務職員・学校事務職員・大学事務職員

学校教育法で規定されている職です。
学校事務を司ります。
上級の職として事務長や事務主任が設けられています。
事務長は、校長の監督を受け、事務職員その他の職員が行う事務を総括します。
事務主任は、校長の監督を受け、事務に関する事項について連絡調整及び指導、助言に当たります。
後期中等教育段階を含む学校においては事務長は必置です。事務長は一般に管理職として扱われます。

技術職員

学校教育法で規定されている職です。
学校で技術的職務に従事します。

学校用務員

学校教育法施行規則に規定されている職です。
学校の環境の整備その他の用務に従事します。校務員や学校主事などの呼称も見られます。

学校司書・司書助手

学校図書館法で規定されている職です。
学校司書は、学校図書館の運営を改善し、児童、生徒、教員の利用を促進するため、学校図書館に専務する職員です。
学校司書の資質向上のために、研修などの措置が講じられています。司書助手は学校司書の職名の一つです。
司書教諭は教諭の充て職です。

司書・司書補

関係法令に規定はありません。
主に高等教育の図書館の業務に従事する職員の職名の一つです。
大学図書館など独立した部署の職員に多く見られます。
公共図書館の司書や司書補となる資格を有する者が多いです。資格を問わず、教育職、教務職、事務職、技術職、らが司書を兼務する事例も見られます。

調理師・調理員

関係法令に規定はありません。
調理師は、学校給食や食堂などの食事を調理します。
多くの調理員は調理師資格を有していませんが、調理師が配置されている場合は調理師のもとで調理します。

寄宿舎指導員

学校教育法で規定されている職です。
学校の寄宿舎で児童、生徒、幼児の日常生活を世話して生活指導を行います。

脚注

注釈

出典

関連項目

校長
理事長: 学校職員ではなく、学校を設置する法人に置かれる職員
教員 - 教員の職階
学校 - 職員
大学職員
教育公務員
県費負担教職員
教職員組合

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