日本の地上デジタルテレビ放送

日本の地上デジタルテレビ放送

日本における地上デジタルテレビ放送（地デジ）は、2003年12月1日に導入され、2011年7月24日にはアナログ放送からの完全移行を果たしました。この施策は、放送局がUHF帯で行われるもので、受信するためにはデジタルチューナーを搭載したテレビや機器が必要です。アナログ放送との主な違いは信号の方式にあり、映像や音声の質が向上したほか、多様なサービスが追加されました。

呼称の変遷と導入の背景

地上波デジタル放送は、最初は「地上波デジタル放送」と呼ばれていましたが、後に総務省によって「地上デジタル放送」と統一されました。その略称として用いられる「地デジ」は、一般的には「ちじょうデジタル」として読みます。

地上デジタル放送への移行は、1953年から始まったアナログ放送の進化の一環として位置づけられています。1996年にはデジタル化に向けた必要性が浮上し、1997年には具体的な計画が策定されました。2003年には東京・大阪・名古屋などの大都市圏で地上デジタル放送が開始され、さらに2006年には全国の県庁所在地でも利用可能となりました。

地デジ導入への批判と懸念

当初、地上デジタル放送の導入は国策として進められ、放送業界には戸惑いや抵抗もありました。特に、放送局がアナログ波からデジタル波への移行のコスト負担や、特定地域における受信環境の整備が問題視されました。また、2021年に発生した東日本大震災の影響で、岩手・宮城・福島の3県では移行時期が延期され、地デジへの完全移行が遅れたことが市民の懸念を呼びました。

地デジ特有の機能

地上デジタルテレビでは様々な機能が加わりました。1080iの高精細映像を中心に、多国語放送やデータ放送、電子番組表（EPG）などが利用可能です。また、双方向サービスも行われ、視聴者参加型の番組が増加しました。データ放送では、天気情報やニュースなどの主な情報が提供され、さらに災害時の緊急情報の配信にも活用されました。

受信機器と視聴方法

地上デジタルテレビを視聴するには、デジタルチューナー搭載のテレビやレコーダーが必要です。視聴者はリモコンを使用してチャンネルを選択し、最大でサブチャンネルを含む複数の番組を同時に受信できる機能も活用可能です。視聴方法としては、UHFアンテナの設置が必要で、新たに設置したり改修する必要があります。難視聴地域にはケーブルテレビやIP放送を利用する選択肢もありました。

地デジと新しい可能性

地上デジタル放送の導入によって、日本におけるテレビ視聴のスタイルは大きく変化しました。高精細な映像品質や多様なサービスの提供により、視聴者にとってより魅力的なコンテンツの受信環境が実現されました。加えて、デジタル化に伴い電波の効率的な利用が進められ、さまざまな新しい通信技術の発展を促す結果となっています。これにより、住民と放送局の接点が強化され、情報の伝播がより迅速かつ効率的に行われることが期待されます。

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