IP放送

IP放送 (アイピーほうそう)

IP放送とは、インターネットプロトコル（IP）を基盤にした放送形態で、従来の有線放送と類似した通信サービスの一つです。主にブロードバンド回線を通じて、映像や音声を視聴することができます。サービスは主に、オンデマンド方式とストリーミング方式に分かれており、特に放送法が適用される部分に関しては、一般的な放送と同様の法規制が設けられています。

概要

IP放送は、利用者がブロードバンド接続を通じて、リアルタイムまたは要望に応じたコンテンツを受信することを可能にします。内容としては、視聴者のニーズに応じたVOD（ビデオ・オン・デマンド）サービスや、ストリーミング配信が代表的です。このようなサービスは、一般社団法人IPTVフォーラムによってさらに細分化されており、VODサービス、ダウンロードサービス、IPマルチキャスト放送、IP再送信サービスの4つに分類されます。

主なサービス

VODサービス

VODサービスは、視聴者が求めるコンテンツを選んで視聴できるオンデマンド型です。これにより、視聴者は自分の都合に合わせたスケジュールでコンテンツを楽しむことができます。

IPマルチキャスト放送サービス

このサービスでは、IPマルチキャストまたはIPv6技術を使用して、複数の視聴者に向けて同時にコンテンツを配信します。通常、高速なFTTH回線が用いられますが、ADSLなどの電話線でも利用されることがあります。

IP再送信サービス

NTTドコモの「ひかりTV」では、地上波やBS放送の再送信サービスを提供していますが、一部地域では他の放送局との合意が必要で、視聴できない地域も存在します。

技術と法規

IP放送では、著作権保護や課金システムが必要不可欠です。日本では、著作権法が改正され、放送の同時再送信に伴う手続きが簡略化されたことにより、著作権関連の問題が軽減されました。具体的には、自動公衆送信による放送に対する許諾手続きが整備され、運用もしやすくなっています。

IPTVの技術

日本では、IPTVフォーラムが技術規格の標準化を進めています。フォーラムでは、主に8つの技術仕様があります。これには、「VOD仕様」「ダウンロード仕様」「IP放送仕様」などが含まれています。

VOD方式とダウンロード方式

VOD方式では、視聴者は特定のコンテンツをデータサーバーから直接ストリーミングで閲覧します。一方、ダウンロード方式では、データを保存し、必要に応じてアクセスできます。ダウンロードした場合には、データが保存され、通信費を節約する利点がありますが、データが失われた際には再度ダウンロードする必要があります。

IP告知放送

地域の告知放送を行うために、IP網を通じて情報を配信するIP告知放送も重要です。専用機器を使用して、緊急情報や地域特有の情報を住民に提供します。これにより、災害時の情報伝達が迅速に行えるようになっています。

海外の事例

海外でもIP放送は広く普及しており、アメリカの「U-verse TV」や韓国の「Genie TV」などがあります。これらは、地域によって異なるサービス形態を持つため、ユーザーは自分のニーズに合った選択が可能です。

IP放送は、技術の進化とともに新しい視聴体験を提供し、今後の発展が期待される分野です。

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