日本の夜と霧

日本の夜と霧

『日本の夜と霧』は、1960年に公開された大島渚監督による日本映画で、日米安全保障条約に対する反対運動をテーマとしています。この作品は、製作から僅か4日後に松竹によって無断で上映が中止され、その後大島監督が松竹に対して強い抗議の意を示し、1961年には松竹を退社することになりました。契約が残っていたため、彼は違約金を支払うこととなります。

また、映画の封切りから約3週間後、1960年10月30日には神田学士会館で大島監督と女優小山明子の結婚式が行われ、その席で当時の出席者たちが上映中止に抗議し始めました。この結婚式は急遽、上映中止に対する抗議の場となり、大島は松竹と対決する決意を表明しました。

映画自体は、1960年の安保闘争を背景にしたストーリーが展開されます。霧の深い夜に結婚式を挙げるのは、新聞記者の野沢晴明と女子学生の原田玲子です。彼らは、デモで負傷した玲子を介抱する後輩の太田と共に、さまざまなエピソードを通じて安保闘争の様相を描き出します。この過程で、北見という人物が国会前に向かったまま消息を絶つという緊迫した展開があり、招待客たちがそれぞれの立場からその背景について語り合う場面が展開されます。

映画制作当初、大島は松竹による制作中止を恐れ、短期間で撮影を進めるために長回しの手法を多用しました。この手法により、俳優がセリフを多少間違えても撮影は続行され、独自の緊張感とリアリティが生まれました。この映画は、学生運動や社会的な事件を描くことで、当時の日本社会の矛盾や葛藤を浮き彫りにしています。

『日本の夜と霧』は、映画界における大島渚の存在感を再確認させる作品であり、その後、本作は映画『青春残酷物語』と共に特別上映される運びとなりました。この映画は安保闘争の実情を直接的に伝えるものであり、観客に強いメッセージを送ることに成功しています。

キャスト

• - 野沢晴明：渡辺文雄
• - 原田玲子：桑野みゆき
• - 太田：津川雅彦
• - 北見：味岡享
• - 高尾：左近允宏
• - 宅見：速水一郎
• - 東浦：戸浦六宏
• - 坂巻：佐藤慶
• - 宇田川：芥川比呂志
• - 宇田川の妻：氏家慎子
• - 中山勝彦：吉沢京夫
• - 中山美佐子：小山明子
• - 川崎：山川治
• - 斎藤：上西信子
• - 小野：二瓶鮫一
• - 寺島幹夫
• - アコーディオンを弾く学生：永井一郎

スタッフ

• - 監督：大島渚
• - 脚本：大島渚、石堂淑朗
• - 製作：池田富雄
• - 撮影：川又昴
• - 音楽：真鍋理一郎
• - 美術：宇野耕司
• - 録音：栗田周十郎
• - 編集：浦岡敬一
• - 照明：佐藤勇

本作は、安保闘争の過程や当時の学生運動のリアルな様相を描いた重要な作品として、多くの映画ファンや批評家の心に残っています。

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