日本の記念貨幣

日本の記念貨幣について

日本の記念貨幣は、国家的な行事や皇室関連の慶事を記念して発行される特別な硬貨です。これらの貨幣は、収集家や歴史愛好家にとって価値のあるものとされています。

記念貨幣の法的・歴史的背景

記念貨幣は、1988年3月までは「臨時補助貨幣」として発行されていましたが、それ以降は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」に基づき、「貨幣」として発行されています。ただし、現在でも本位貨幣ではなく、その発行は閣議によって決定されます。

かつては、記念貨幣を発行するために特別法が制定されたこともありましたが、現在では通常の貨幣と同様に財務省が発行権限を持ち、造幣局が製造を担当しています。

記念貨幣の歴史

日本で初めての記念貨幣は、1964年の東京オリンピックを記念して発行された1000円銀貨と100円銀貨でした。2021年3月末時点で215種類が発行されており、その種類は多岐にわたります。

記念貨幣の額面は、当初は100円や1000円が主流でしたが、後に10万円金貨が発行されました。しかし、偽造問題が発生したため、以降は額面あたりの金の重量が増やされ、シリアルナンバー付きのケースに収納されるようになりました。現在では、1万円が最高額面となっています。

2008年には、日本ブラジル交流年と日本人ブラジル移住100周年を記念した500円硬貨が発行されました。この硬貨は、表面の図柄について著作権問題が発生したため、急遽図柄を変更して鋳造し直されるという異例の事態がありました。また、この硬貨は、日本の貨幣として初めて英語以外の言語（ポルトガル語）で記念銘が表示されたものです。

記念貨幣の鋳造上の特徴

1970年から1975年にかけて発行された100円白銅貨は、直径や重量にばらつきがありました。また、1992年以前の500円記念貨幣は、通常の500円硬貨よりも一回り大きいサイズでした。しかし、近年発行されている500円記念貨幣は、通常のものと材質や重量が同じものが多く、自動販売機でも使用できる場合があります。

2003年以降の1000円銀貨は、全て彩色を施したカラーコインとして発行されるようになりました。

記念貨幣の根拠法

記念貨幣の発行根拠は、当初は臨時通貨法でしたが、後に通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律（通貨法）に移行しました。

1964年の東京オリンピック記念貨幣発行時には、特別法が制定されました。また、1986年には昭和天皇在位60年を記念して10万円金貨が発行されましたが、これも特別法に基づいています。これらの矛盾を解消するため、1988年に通貨法が施行され、記念貨幣の法的根拠が統一されました。

現在では、通貨法第5条に基づき、閣議決定によって記念貨幣が発行されており、発行枚数は政令で定められています。

記念貨幣の一覧

記念貨幣は、オリンピックや国際博覧会、皇室関連の行事などを記念して発行されています。発行された記念貨幣は全て硬貨であり、記念紙幣は発行されていません。

これらの記念貨幣は、本来は市中での流通を想定したものではありませんが、法的には法定通貨として有効です。

日本銀行における記念貨幣の扱い

記念貨幣が市中に流通した場合、日本銀行に戻ると、再使用不可能な流通不便貨として回収されます。日銀では、記念貨幣を種類ごとに定められた定量で受け入れています。

記念貨幣の様式

1988年3月以前の記念貨幣は「臨時通貨法」に基づき「臨時補助貨幣」として発行され、同年4月以降は「通貨法」に基づき「貨幣」として発行されています。

臨時補助貨幣としての記念貨幣（1988年3月以前）

1988年3月以前に発行された主な記念貨幣には、以下のようなものがあります。

東京オリンピック記念1000円銀貨幣
東京オリンピック記念100円銀貨幣
日本万国博覧会記念100円白銅貨幣
札幌オリンピック記念100円白銅貨幣
沖縄国際海洋博覧会記念100円白銅貨幣
天皇陛下御在位50年記念100円白銅貨幣
国際科学技術博覧会記念500円白銅貨幣
内閣制度創始100周年記念500円白銅貨幣
天皇陛下御在位60年記念100000円金貨幣
天皇陛下御在位60年記念10000円銀貨幣
天皇陛下御在位60年記念500円白銅貨幣

貨幣としての記念貨幣（1988年4月以降）

1988年4月以降に発行された記念貨幣は多岐にわたります。以下はその一部です。

青函トンネル開通記念500円白銅貨幣
瀬戸大橋開通記念500円白銅貨幣
国際花と緑の博覧会記念5000円銀貨幣
裁判所制度100周年記念5000円銀貨幣
議会開設100周年記念5000円銀貨幣
天皇陛下御即位記念100000円金貨幣
天皇陛下御即位記念500円白銅貨幣
沖縄復帰20周年記念500円白銅貨幣
皇太子殿下御成婚記念50000円金貨幣
皇太子殿下御成婚記念5000円銀貨幣
皇太子殿下御成婚記念500円白銅貨幣
関西国際空港開港記念500円白銅貨幣
第12回アジア競技大会記念500円白銅貨幣
長野オリンピック冬季競技大会記念10000円金貨幣
長野オリンピック冬季競技大会記念5000円銀貨幣
長野オリンピック冬季競技大会記念500円白銅貨幣
天皇陛下御在位10年記念10000円金貨幣
天皇陛下御在位10年記念500円白銅貨幣
2002 FIFAワールドカップ記念10000円金貨幣
2002 FIFAワールドカップ記念1000円銀貨幣
2002 FIFAワールドカップ記念500円ニッケル黄銅貨幣
第5回アジア冬季競技大会記念1000円銀貨幣
奄美群島復帰50周年記念1000円銀貨幣
2005年日本国際博覧会記念10000円金貨幣
2005年日本国際博覧会記念1000円銀貨幣
2005年日本国際博覧会記念500円ニッケル黄銅貨幣
中部国際空港開港記念500円銀貨幣
国際連合加盟50周年記念1000円銀貨幣
南極地域観測50周年記念500円ニッケル黄銅貨幣
2007年ユニバーサル技能五輪国際大会記念1000円銀貨幣
日本ブラジル交流年及び日本人ブラジル移住100周年記念500円ニッケル黄銅貨幣
地方自治法施行60周年記念1000円銀貨幣
地方自治法施行60周年記念500円バイカラー・クラッド貨幣
天皇陛下御在位20年記念10000円金貨幣
天皇陛下御在位20年記念500円ニッケル黄銅貨幣
第67回国際通貨基金・世界銀行グループ年次総会記念1000円銀貨幣
新幹線鉄道開業50周年記念1000円銀貨幣
新幹線鉄道開業50周年記念100円クラッド貨幣
東日本大震災復興事業記念10000円金貨幣
東日本大震災復興事業記念1000円銀貨幣
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念1000円銀貨幣
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念10000円金貨幣
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念100円クラッド貨幣
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念500円バイカラー・クラッド貨幣
第8回アジア冬季競技大会記念1000円銀貨幣
小笠原諸島復帰50周年記念1000円銀貨幣
明治150年記念1000円銀貨幣
天皇陛下御在位30年記念10000円金貨幣
天皇陛下御在位30年記念500円バイカラー・クラッド貨幣
ラグビーワールドカップ2019日本大会記念10000円金貨幣
ラグビーワールドカップ2019日本大会記念1000円銀貨幣
天皇陛下御即位記念10000円金貨幣
天皇陛下御即位記念500円バイカラー・クラッド貨幣
郵便制度150周年記念10000円金貨幣
郵便制度150周年記念1000円銀貨幣
近代通貨制度150周年記念10000円金貨幣
近代通貨制度150周年記念5000円金貨幣
近代通貨制度150周年記念1000円銀貨幣
沖縄復帰50周年記念10000円金貨幣
沖縄復帰50周年記念1000円銀貨幣
鉄道開業150周年記念1000円銀貨幣
2025年日本国際博覧会記念1000円銀貨幣
2025年日本国際博覧会記念10000円金貨幣
2025年日本国際博覧会記念500円バイカラー・クラッド貨幣
国立公園制度100周年記念貨幣

これらの記念貨幣は、それぞれ独自の図柄や特徴を持ち、発行時の歴史的背景や文化的な意義を反映しています。

まとめ

日本の記念貨幣は、単なる通貨としての役割だけでなく、国家的行事や文化的な出来事を記録する歴史的な価値も持っています。その美しいデザインや希少性から、多くの人々が収集の対象としています。記念貨幣は、日本の歴史や文化に触れるための魅力的な手段の一つと言えるでしょう。

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