日本テレビ火曜8時枠時代劇

日本テレビ火曜8時枠時代劇：黄金時代と終焉

1964年から1997年まで、日本テレビの黄金期を支えた人気番組枠「火曜8時枠時代劇」。約25年半にわたる歴史の中で、数々の名作時代劇が誕生しました。本記事では、この枠の隆盛から衰退、そして現代における状況までを詳細に解説します。

隆盛期：ユニオン映画と里見浩太朗

この枠は、1997年3月まで放送され、日本テレビ最後の20時台ドラマ枠として長く愛されました。 『伝七捕物帳』以降（『父子鷹』を除く）の作品は、日本テレビ関連会社のユニオン映画が制作。特に里見浩太朗主演の作品が多く、視聴者の支持を集めました。 時代劇ブームを背景に、数々の名優たちが時代劇を彩り、多くの視聴者を魅了したことは言うまでもありません。

衰退と廃枠：野球中継と時代劇人気低迷

しかし、1990年代に入ると状況は変化しました。1993年、当時日本テレビ編成局長だった萩原敏雄氏の発言「時代劇で視聴率を獲得する時代は終わった」が示す通り、時代劇人気は低迷。さらに、火曜19時台も低視聴率に苦しんでいたことから、1995年度以降は、プロ野球シーズン中は19時～20時台が単発2時間特番枠に置き換えられ、シーズンオフのみの放送に縮小されました。

特に1994年は、プロ野球中継の編成が頻繁になり、7月と8月は放送が全くありませんでした。 この状況は、時代劇枠の存続を大きく脅かすものとなり、最終的に1997年3月、日本テレビはレギュラー時代劇枠から完全撤退。20時台のドラマ枠自体も完全に廃止されました。

現代：著作権と再放送

現在では、全ての番組の所有権がユニオン映画に移行しており、地上波ではテレビ東京系列の『時代劇アワー』で再放送されるのが一般的です。しかし、この枠で拡大版として放送された作品は、分割放送が困難なため、2021年現在も再放送されていません。一方、BS日テレでは一部作品が放送されています。

代表的な作品

この枠では、多くの名作時代劇が放送されました。その一部を以下に挙げます。

1964年： 戦国の剣豪
1967年-1969年： 桃太郎侍（尾上菊之助版）、昔三九郎、五人の野武士
1973年-1977年： 伝七捕物帳（四代目中村梅之助版）
1977年-1982年： 新五捕物帳
1982年-1983年： 右門捕物帖（杉良太郎版）
1983年-1986年、1988年-1989年、1990年-1991年： 長七郎江戸日記（第1～3シリーズ）
1987年： 銭形平次（風間杜夫版）
1989年-1990年、1991年-1992年： 八百八町夢日記（第1・2シリーズ）
1992年-1993年： 半七捕物帳（里見浩太朗版）
1993年-1994年： 闇を斬る!大江戸犯科帳、父子鷹（六代目市川染五郎・九代目松本幸四郎版）
1994年-1995年、1995年-1996年： 江戸の用心棒、江戸の用心棒II
1996年-1997年： さむらい探偵事件簿


これらの作品は、時代劇ファンにとって、今もなお記憶に残る名作として語り継がれています。

日本テレビにおける時代劇の今後

日本テレビは、この枠の廃枠後、新作時代劇の制作をほぼ行っていません。2004年、2005年にスペシャルドラマとして時代劇が放送されましたが、それ以降は新たな時代劇は制作されていません。 21世紀において、地上波キー局で20時台にドラマ枠を設けていないのは、日本テレビだけという現状です。

日本テレビ火曜8時枠時代劇は、日本のテレビ史に大きな足跡を残した番組枠でした。その歴史と遺産は、今後も時代劇ファンに語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索