日本ブレイク工業

株式会社日本ブレイク工業：解体業の常識を覆した異端の企業

株式会社日本ブレイク工業（NBK）は、神奈川県横浜市に本社を構える総合解体業者です。建築物を中心とした解体工事を主な業務としていましたが、2009年以降、経営上の問題により事業を停止しています。しかし、そのユニークな企業活動と、社歌をきっかけとした社会現象は、今もなお語り継がれています。

企業概要と独自の取り組み

NBKは、建設業界の中でも地味な存在と見られがちな解体業のイメージアップに力を入れていました。その象徴的な取り組みが、オリジナルのふりかけ「ガラの素」の製作と配布です。これは、関係者や近隣住民への挨拶品として活用され、一風変わった企業姿勢を印象付けました。かつては永谷園に製造を委託していましたが、後に駿河屋海苔店が製造を担当しました。

また、解体工事部門以外にも、カッター工事部門を有しており、耐震補強工事やアンカー工事など、幅広い業務を手掛けていました。2006年には、カッター工事部門を独立させ、子会社「有限会社スキル」を設立。スキルは現在、建設業の他に、日本ブレイク工業関連の企画・販売、そして社員タレントのマネジメントを行う芸能事務所としても活動しています。

事業停止と横領事件

2009年6月、NBKのウェブサイトにアクセス不能な状態が発覚し、倒産危機が噂されました。一部報道では、それを否定するコメントが伝えられましたが、実際には、子会社の社長とその母親である経理担当社員による巨額の横領事件が原因でした。横領額は3年間で5億円にも及び、この事件が発覚した2009年1月以降、全社員が解雇され、事業継続が困難となりました。その後、民事および刑事告訴が検討されました。

2016年の時点では、神奈川県建物解体業協会の会員ではありませんでしたが、法人番号は発行されていました。しかし、休眠会社と見なされ、2021年12月15日付けで解散しました。

社歌「日本ブレイク工業社歌」と社会現象

常識を覆す社歌

NBKの最も特筆すべき点は、その社歌です。契約社員であった萬Z（量産型）（manzo、坂下正俊）が2002年に作詞・作曲を手掛けたこの社歌は、「一般の社歌の常識と、大きな音を立てる割りに地味な解体業のイメージを破壊する」というコンセプトのもと制作されました。その独特な曲調と歌詞は、多くの人々に衝撃を与えました。

CD-Rの容量を埋めるために活用されたこの社歌は、その地域性を超えて広がり、ヒーローアニメソングをモチーフにした曲調は、解体工事を「街の敵」と戦う正義の味方に見立てたものでした。

『タモリ倶楽部』でのグランプリ受賞

2003年10月24日、テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「日本キャンペーンソング大賞」でグランプリを受賞したことで、NBKの社歌は一躍有名になりました。1970年代のアニメソングを彷彿とさせる曲調や歌詞が、インターネット上の掲示板を中心に話題となり、公式ホームページに掲載された社歌の音楽ファイルには、アクセスが殺到し、サーバーがダウンするほどの人気を博しました。

CD発売とオリコンチャートイン

インターネットでの評判を受け、2003年12月17日にはCDが発売され、新星堂での店頭販売も開始されました。発売日にはオリコンチャートのデイリーシングル部門で初登場7位を記録し、週間シングル部門では初登場22位（インディーズ部門2位）にランクイン。これは、オリコン史上初の社歌のランクインとなりました。最終的には約10万枚を売り上げました。

また、同日には着信メロディとしての配信も開始され、現在では数社の通信カラオケにも収録されています。インストアライブには、社員であるダイヤモンド勝田（重水直人）も出演し、共に知名度を上げました。

ブレイク祭り

CD帯裏に書かれた「コンピレーションアルバムの作品募集」の告知がきっかけとなり、2ちゃんねるのDTM板を中心に、社歌のリミックスバージョンを作るブームが起こりました。数多くのリミックス作品が生まれ、中でも特に有名なのが、歌詞を英語化しメタル要素を加えたユーロビート作品『NBKユーロビート』と、社歌を逆再生すると「よく冷える〜」などの歌詞に聞こえることから作られた『日本冷え冷え工業』です。これらのリミックス作品や、オリジナルムービーなどを収録したコンピレーションアルバム『ブレイク祭り』が、2004年8月26日に発売されました。

その後

2005年頃から社歌ブームは収束しましたが、坂下は社歌のヒットを機に音楽で生計を立てるようになり、現在も音楽活動を続けています。ダイヤモンド勝田は、スキル所属のタレントとして俳優業を続け、テレビドラマやCMなどに出演しています。

NBKの社歌は、パチスロ機『日本ブレイク工業』の題材にもなり、2007年にリリースされました。

まとめ

日本ブレイク工業は、解体業という地味な業界にあって、その斬新な発想とユニークな取り組みで多くの人々の記憶に残る企業となりました。社歌という異質な存在を通して社会現象を巻き起こし、その名は今もなお語り継がれています。

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