社歌

社歌とは

社歌とは、一般的に企業が社員の労働意欲向上や企業理念の共有などを目的として制作する歌のことです。企業のアイデンティティを表現し、社員の一体感を醸成する役割を担っています。

社歌の特徴

使用場面: 通常、入社式、創立記念式典、朝礼などの企業内行事で歌われます。外部に公開されることは少ないですが、近年では広報活動の一環として積極的に活用する企業も増えています。
音楽性: 社歌の音楽性は多岐にわたり、伝統的なものからポップス調、ロック調まで様々なジャンルが存在します。歌詞には、企業理念、歴史、事業内容、未来への展望などが盛り込まれることが一般的です。
多様な形態: 正規に制定された社歌の他に、社歌として制定されていないものの社員に親しまれている歌、広報目的で制作された曲が社歌として認識されているケースなど、様々な形態があります。

社歌の歴史

日本で最初の社歌がいつ、どの企業によって制作されたかは明確な記録が残っていませんが、1890年代頃に成立したという説があります。確認されている最も古い例としては、1917年に南満州鉄道が制作したものが挙げられます。寺岡寛氏の研究によれば、社歌ブームは過去に4回あり、大恐慌直後、太平洋戦争後、高度成長期、バブル期にそれぞれ盛り上がりを見せました。

社歌は日本独自のものではなく、アメリカのIBMも1930年代に社歌を制作しています。

近年の動向

近年では、社歌を単なる社内向けの歌としてではなく、企業ブランディングや広報活動に活用する企業が増えています。有名アーティストに制作を依頼したり、ミュージックビデオを制作してYouTubeなどで公開したりするケースも見られます。

電通は2016年から「中小企業社歌コンテスト」を開催し、2019年からは日本経済新聞社などと共同で「NIKKEI全国社歌コンテスト」として規模を拡大しています。これにより、大企業も参加できるようになり、社歌の認知度向上に貢献しています。

一般発売された主な社歌の例

日本ブレイク工業 - 日本ブレイク工業社歌: 『タモリ倶楽部』で話題になり、オリコンチャートにランクイン。
北海道旅客鉄道（JR北海道） - 北の大地: ダークダックスが歌う、北海道の雄大さを表現した社歌。
テンポラリーセンター（現：パソナ） - TAKE A FLIGHT: 松崎しげるが歌う、CMソングとしても親しまれた曲。
関西テレビ放送 - 超えろ。: 槇原敬之が作詞・作曲を手掛けた、力強いメッセージが込められた社歌。
ローソングループ - Heart to Heart: 布袋寅泰が作曲した、心温まるメロディが印象的な社歌。

社歌ではないが広く知られている曲の例

マキタ - I Love You Japan: MR. BIGが演奏時にマキタの電動ドリルを愛用していたことがきっかけで生まれた曲。
東陶機器（現・TOTO） - ととべんきのうた: 坂田おさむが歌う、TOTOの職場で歌い継がれているユニークな歌。

まとめ

社歌は、企業の歴史や文化、社員の想いが込められた特別な歌です。時代とともにその役割や形態は変化していますが、企業と社員を結びつける大切な存在であることに変わりはありません。近年では、社歌を広報活動に活用する企業も増えており、今後ますます注目されることが予想されます。

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