日本医療団

日本医療団の概要

日本医療団（にっぽんいりょうだん）は、1942年に設立された戦時中の特殊法人で、日本全土における医療の普及と質の向上を目的としました。設立から約5年間の活動を経て、1947年にその使命を終えた日本医療団の役割や意義について、詳しく見ていきましょう。

設立の背景

1942年に制定された国民医療法（昭和17年法律第70号）に基づき、日本医療団は設立されることとなりました。この法律は、国民に対する医療の提供を強化する目的であり、日本医療団令（昭和17年勅令第427号）により具体的な運営方針が定められました。日本医療団は、戦時下での医療の供給や治療の質を向上させるために、公的な医療機関を設立し、医療従事者の育成も図ることを目指していました。

当時の日本における医療体系は、開業医に依存しており、都市部に医療が集中する一方で、無医村や医療が行き届かない地域が存在していました。日本医療団の設立は、こうした不均衡を解消し、公的な医療機関の配置を進めるためのものでした。

主な活動内容

日本医療団の活動は、病院の経営や医療従事者の育成を中心に進められました。病院の設立については、一般体系と特別体系の2つに分かれ、以下のような構想が立案されました。

一般体系

• - 中央総合病院（500床）を2ヵ所
• - 道府県総合病院（250床）を47ヵ所
• - 地方総合病院（50床）を588ヵ所
• - 地方診療所を無医町村に設置

特別体系

特に結核根絶を目指して設立された結核病院については、その病床数を10万床に拡大することが定められました。1943年には、厚生省と内務省の指導の下、地方の結核療養所が日本医療団に統合され、1947年にはこれらの療養所が国立療養所に転換される運びとなりました。

解散の経緯

終戦後、日本医療団は解散の運命を迎えます。厚生省医務局長であった東龍太郎は、戦後に設立された多くの営団や公団の解散命令を見て、日本医療団もその例に漏れないと考えました。このため、GHQとの交渉を経て、自主的に解散する決断を下しました。「天の声である」とした職員に対する説明は、制度の変化を反映するものでした。

日本医療団は、1947年11月1日に正式に解散しました。その後、残務処理に関しては多くの問題を抱え、清算が完了するのは1977年のことでした。また、結核療養所の国有化については多くの抗議が上がり、一部では返還運動も行われましたが、実際には返還が行われることはありませんでした。

本部及び事務所の移遷

日本医療団は、国民医療法第30条第1項に基づき、東京に本部事務所を置くことが定められました。設立当初から複数回の移転がありました。設立期間中には、以下のような移転が行われました：

• - 1942年厚生省内
• - 1942年三会堂
• - 1945年神田
• - 1949年千代田区
• - 1957年港区

結論

日本医療団は、日本における医療制度の整備と発展を目指した重要な法人であり、その活動は戦時中の厳しい時代背景の中でも医療の充実を図るものでしたが、終戦後の混乱と制度改革により、短い歴史を終えざるを得ませんでした。この歴史を知ることは、現在の医療制度の理解を深める上での一助となるでしょう。

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