日本女性党

日本女性党：短命に終わった女性だけの政党

日本女性党は、1977年6月に女性解放運動家である榎美沙子が中心となり、中絶禁止法への反対やピル解禁を求める女性解放連合（中ピ連）を母体として結成された政治団体です。同年7月には解散しており、その活動期間は非常に短いものでした。

結成の背景

党首の榎美沙子は、1977年6月の第11回参議院議員通常選挙に際して国政進出を目指し、中ピ連を基盤として日本女性党を立ち上げました。当時、女性の権利向上を訴える運動が活発化しており、その勢いを背景に「世界初の女性だけの政党」を標榜し、男性の入党を認めないという明確な方針を打ち出しました。教育党の党首となる城戸嘉世子も結党に参加しています。

選挙戦術と混乱

日本女性党は、選挙区と全国区合わせて10名の候補者を擁立し、確認団体となりました。しかし、党首である榎美沙子自身は立候補せず、他の候補者は無名の主婦などが中心でした。実質的には榎党首の個人政党に近い状態でした。当初、各候補者を「榎・東京」や「榎・大阪」といった党首の名前を冠した通称で立候補させるという、過去の選挙戦術を参考にしたユニークな戦略を発表しました。しかし、選挙管理委員会はこれを「通称」とは認めず、候補者は本名で立候補することになりました。

この選挙戦術の変更に加え、政治資金をめぐる内輪揉めや、ピル解放と製薬会社との関係を指摘するスキャンダル報道など、党内は混乱を極めました。また、中ピ連時代から行っていたピンク色のヘルメットをかぶっての街頭宣伝活動は、有権者に奇異な印象を与え、選挙戦は苦戦しました。

選挙結果と解散

1977年7月10日の投開票の結果、日本女性党の候補者は全員落選し、供託金も没収されるという惨敗に終わりました。この結果を受けて党は即日内部分裂を起こし、わずか2日後の7月12日には解散しました。

その後の影響

日本女性党の活動は短期間で終わりましたが、その後も城戸嘉世子は教育党から選挙に立候補し続けました。また、元日本女性党の公認候補者1名が1989年の参議院選挙に他の政治団体から立候補しています。日本女性党は、その特異な存在と短命さから、泡沫候補の典型例として語られることもあります。

参考文献

「榎美沙子と中ピ連」（秋山洋子『リブ私史ノート　女たちの時代から』所収　インパクト出版会、1993年1月、ISBN 4755400309）

関連項目

日本の政党一覧
泡沫候補

外部リンク

参院選選挙公報全国区・城戸かよこ（日本女性党・１９７７年）

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