日本式鴨型

日本式鴨型（にほんしきかもがた）

概要

日本式鴨型は、日本の内閣技術院が試作した滑空機、すなわちグライダーです。この機体は、特に前翼機の性能研究を目的として制作されました。製作は日本小型飛行機が担当し、機体の社内名は「K-16」とされています。

1942年2月、技術院はこの滑空機の試作を決定しました。設計は本庄季郎技師によるもので、作業は三菱重工業に依頼されました。日本小型飛行機による設計と製作は1944年秋に始まり、1945年3月末には第一号機が完成します。この機体は中央航空研究所に納入されました。

1945年4月には、石岡中央滑空訓練所において第一号機の飛行実験がスタートしました。試験飛行は12回から13回実施され、さまざまな条件下での操縦性が評価されました。具体的には、翼幅を短くして翼面荷重を増やした場合や、垂直安定板を撤去した場合の試験が計画されていました。これらの結果から、前翼機は一般的な機体形式と比較しても操縦性に大差がないことが確認されました。また、得られたデータは日本海軍が進めていた震電の開発にも活用されました。

さらに、第二号機と第三号機も製作されましたが、これらはいずれも実験には使用されず、太平洋戦争の終戦まで日本小型の府中工場で保管されることとなりました。

機体の特徴

日本式鴨型は複座の前翼機であり、全て木製で作られています。機体の前翼前縁には固定スロット、後縁には昇降舵を備え、主翼両端にはエアブレーキも兼ねた方向舵があります。胴体の後部には垂直安定板が設置されていますが、こちらの安定板には方向舵は取り付けられていません。また、製造にあたっては従来の滑空機製造で用いられるカゼイン膠の代わりにプラスチック接着剤が使用されました。

曳航機には九五式三型練習機が使用され、曳航中には前翼がパイロットの視界を遮る特性も見られました。この試験は、テストパイロットである藤倉三郎特級滑空士によって行われ、彼は前翼の有無が機体姿勢の指針に寄与することから、前翼機は特に練習機としての適性があるとの見解を示しています。

諸元

• - 全長: 8.4 m
• - 全幅: 15.0 m
• - 全高: 2.5 m
• - 最良滑空速度: 82.8 km/h
• - 乗員数: 2名

参考文献

• - 藤原洋、藤田俊夫『男爵の愛した翼たち（上）』日本航空協会、2008年、39頁。
• - 野沢正『日本航空機総集 九州・日立・昭和・日飛・諸社篇』出版協同社、1980年、95頁。
• - 佐藤博『日本グライダー史』海鳥社、1999年、133,134頁。
• - 航空朝日編輯部「日本式鴨型滑空機」『航空朝日』第6巻第7号、朝日新聞社、1945年、14 - 16頁。

このように、日本式鴨型は滑空機として独自の設計と運用がなされ、戦時中における航空技術の研究と実践に寄与しました。

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