日本映画 (映画会社)

日本映画株式会社は、1933年に設立され、翌1934年に倒産した日本の映画会社です。この会社は、かつて京都で映画製作を行っていた東活映画社を母体として誕生しました。

設立の背景

1932年、東活映画社は東京地区に新たな撮影所を建設する計画を立て、本多嘉一郎を派遣しました。候補地として選ばれたのは、現在の東京都調布市にあたる場所でした。しかし、東活映画社は間もなく解散し、京都の撮影所は競売にかけられるという事態に陥りました。この解散した東活映画社の事業を引き継ぐ形で、同社の社長であった中山貞雄が京王電気軌道（現在の京王電鉄）と提携し、1933年に日本映画株式会社が設立されました。

撮影所の建設と立地

日本映画株式会社は、東活映画社の計画を引き継ぎ、調布に「日本映画多摩川撮影所」を建設しました。撮影所は、当時のレジャーランド「京王閣」や「多摩川原駅」（現在の京王多摩川駅）に近接しており、非常に恵まれた立地条件でした。この好立地は、撮影所関係者や俳優の移動、撮影に必要な機材の運搬などにおいて、大きな利便性をもたらしました。

短命に終わった会社

しかし、日本映画株式会社は設立からわずか1年後の1934年に倒産してしまいました。その原因は、当時の経済状況や映画業界の競争激化など、複合的な要因が考えられます。短期間で倒産したため、同社が製作した映画はわずかしか残っていません。会社の寿命は短かったものの、後に続く映画会社や撮影所に大きな影響を与えました。

その後の撮影所

倒産後、日本映画株式会社が建設した撮影所は日活に買収され、「日活多摩川撮影所」となりました。さらに第二次世界大戦中の統制により、1942年には大映と合併し、「大映多摩川撮影所」へと名前を変えました。この撮影所は、戦後も多くの映画作品を生み出し、日本の映画史に大きな足跡を残しました。また、撮影所建設に関わった本多嘉一郎は、後に調布市長に就任し、地元の発展に貢献しました。

日本映画株式会社のフィルモグラフィ

日本映画株式会社が製作した映画は、以下の通りです。

『浅草三重奏』（1933年3月8日公開、監督：麻生喬）
『旅合羽だんだら染』（1933年3月8日公開、監督：志波西果）
* 『上海から来た女』（1933年公開、監督：中村能二）

これらの作品は、当時の映画界の状況や流行を反映したものであり、日本映画史を研究する上で重要な資料となっています。

補足

なお、「日本映画社」と表記されることがありますが、これはニュースフィルム製作を行っていた別の法人であり、日本映画株式会社とは異なります。混同しないように注意が必要です。

日本映画株式会社は、短命に終わった映画会社ではありますが、その設立から倒産、そして撮影所の変遷は、日本の映画史における重要な出来事の一つと言えるでしょう。

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