日本映画社

日本映画社

日本映画社（にっぽんえいがしゃ）は、昭和前期に存在した日本の映画会社です。略称は日映。1940年に社団法人として設立され、1946年に株式会社化、1951年に解散しました。

概要

日本映画社は、第二次世界大戦中に、大日本帝国政府の意向を受け、ニュース映画や国策宣伝映画を製作しました。その他、記録映画、教育映画、科学映画も多数製作しています。

1940年4月、大手新聞社（朝日、大阪毎日、読売）と同盟通信のニュース映画部門を統合し、「社団法人日本ニュース映画社」として設立されました。翌1941年には「社団法人日本映画社」と改称しています。終戦時には900名以上の従業員を抱えていましたが、戦後、経営陣の戦争責任が追及される中で、1945年10月に解散。その後、従業員の有志により再建され、「株式会社日本映画社」として再出発しました。

しかし、短編記録映画の需要低迷により経営危機に陥り、東宝と業務提携を結びます。その後、1951年に日本映画新社、日映学芸映画製作所、日映科学映画製作所、日映美術に分社化され、解散しました。

沿革

設立と戦時下の活動

1939年に映画法が制定され、映画館でのニュース映画上映が義務化されたことを受け、1940年4月に日本ニュース映画社が設立されました。当初は1000人を超えるスタッフを抱える巨大報道機関として、ニュース映画「日本ニュース」を制作していました。初期のニュース映画では、皇室関連のニュースが必ずトップで扱われ、「脱帽」や「謹寫」といった字幕が挿入されていました。

1941年には、東宝や松竹の文化映画部門、その他の文化映画製作会社を吸収し、社団法人日本映画社へと改組。週1本のニュース映画に加え、多数のプロパガンダ映画を製作しました。これらの映画は、軍部による厳格な検閲を受け、検閲済みの字幕が表示されていました。

戦後と再建

終戦後、日本映画社は、原爆投下後の広島・長崎を撮影した記録映画を製作しました。しかし、1945年12月、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）のプレスコードによる検閲対象となり、旧体制下での「日本ニュース」は終了。1946年に株式会社日本映画社として再出発し、「新生日本ニュース」として報道姿勢を転換しました。一般国民の声を取り入れるなど、従来の国策報道とは異なる姿勢を示しました。

1948年には、北大教授の中谷宇吉郎との共作で『霜の花』や『大雪山の雪』などの作品を発表。また、ニュース映画では、清水崑による風刺コーナー「漫画の頁」が始まりました。

分社化と解散

1951年、日本映画社は東宝の全額出資により、ニュース映画部門を中心に株式会社日本映画新社へと改組されました。教育映画部門は日映科学映画製作所と日映学芸映画製作所に分社化され、映画のタイトルなどを制作するスタッフは、日映美術を事業化しました。これにより、日本映画社は解散しました。

原爆災害記録映画の没収

日本映画社は、広島・長崎での原爆投下直後から記録映画班を組織し、撮影を開始しました。しかし、撮影途中でアメリカ憲兵に拘束され、占領軍総司令部より撮影禁止が伝えられます。その後、アメリカ戦略爆撃調査団の委嘱という形で制作を続行しましたが、完成した記録映画や関連資料は全てアメリカ側に没収されてしまいました。ただし、社員だった岩崎昶らの手配により、わずかなフィルムが秘密裏に日本に保管されました。

日本映画社の特徴

戦時中は国策映画を製作
戦後は報道姿勢を転換
原爆記録映画を制作したが没収
左右対称型のロゴマークが特徴

関連会社

イカロス（旧読売映画社）
テレビ朝日映像（旧朝日テレビニュース社）
毎日映画社

脚注

詳細は各外部リンクを参照してください。

外部リンク

日本映画新社(当時のWebサイト) - ウェイバックマシン（2007年7月4日アーカイブ分）
日映社歴(当時のWebサイト) - ウェイバックマシン（2008年1月30日アーカイブ分）
原爆映像の経緯(当時のWebサイト) - ウェイバックマシン（2010年5月3日アーカイブ分）
日本ニュース｜NHK戦争証言アーカイブス
映像資料館 日映アーカイブ

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