日本海観光フェリー

日本海観光フェリー株式会社の概要

日本海観光フェリー株式会社は、1973年に設立された日本の海運会社であり、主に能登半島と佐渡島を結ぶカーフェリー航路の運営を目的としていました。この会社は、名古屋鉄道や石川県、新潟県の財界からの出資を受け、地域の活性化と交通網の整備を目指しました。1975年4月12日、珠洲飯田と小木を結ぶ航路を開設しましたが、当初予想されていた20万人の利用者数には及ばず、初年度の実績はわずか84,000人と振るわない結果となりました。

経営の困難

設立以来、業績は厳しく、利用者は年々減少していきました。1977年11月の時点では、3年間で累計赤字は15億円を超える状況となり、航路の経営は非常に厳しいものになりました。1978年と1979年には、夏季限定で大型ホーバークラフトを用いて別の路線を設けましたが、その運航も1980年に休止となり、最終的に1981年に廃止されました。

航路と運航内容

設立した航路は以下の通りです。

• - カーフェリー運航: 珠洲飯田港と小木港間の航路。

- 距離: 105km
- 所要時間: 約3時間50分
- 運航期間: 4月から11月まで。
- 当初は毎日1往復の運航で、夜間は海上ホテルとしても利用されていました。

• - ホーバークラフト運航: 七尾港から和倉港、珠洲飯田港を経由して小木港に至る航路。

- 所要時間: 七尾発で約2時間45分、小木発で約2時間40分
- 運航期間: 4月から10月まで
- 4月から8月は2往復の運航があり、9月から10月は1往復となっていました。

船舶情報

このフェリー会社では、以下のような船舶が運用されていました。

• - カーフェリー「かもめ」:

- 総トン数: 2,737トン
- 全長: 90.5m
- 幅: 16.0m
- 航海速力: 17.5ノット
- 旅客定員: 通常858名、夏季は1,114名
- 車両積載能力: 大型バス10台、乗用車47台、または大型トラック22台など多彩。
- 1977年に引退し、その後は韓国に売却されています。

• - ホーバークラフト「しぐなす」:

- 製造: 三井造船のMV-PP15型。
- 旅客定員: 155名
- 最高時速: 120km、航海速力: 85km
- 2隻ともリースで建造され、その後は廃止に伴い返却されましたが、80年代前半に解体され現存していません。

航路廃止後の状況

珠洲飯田港のフェリーターミナルは、その航路が廃止された後もそのまま残り、レストランなどの用途で使われました。2017年からは「さいはてのキャバレー」として、奥能登国際芸術祭の一環でイベント会場などに転用されていました。しかし、2024年に発生した能登半島地震により、全壊してしまいました。このように、日本海観光フェリー株式会社は地域の発展を志したものの、数々の困難に直面し、短命に終わった歴史を持っています。

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