日本海軍式水上機

日本海軍式水上機の概要

日本海軍式水上機は、1912年に大日本帝国海軍によって試作された国産初の水上機です。この機体は、別名「海軍第8号機」とも呼ばれ、海軍航空技術委員会が設立されたことにより、航空機の研究が進められる中で開発が始まりました。

開発の背景

海軍は航空技術の発展を目的として、1912年6月に海軍航空技術委員会を設立しました。同年、横須賀海軍工廠に飛行機工場を新設し、1913年5月からは外国製の水上機の組み立ても開始しました。この流れの中で、中島知久平機関大尉が主導となり、日本製の水上機の設計と製作が進められました。1913年の秋には初号機が完成し、その後、山田忠治大尉による試験飛行が行われましたが、残念ながら本格的な運用には至らず、この機体は実験的な存在となりました。

機体の特徴

この水上機は、木製の骨組みで構成されており、翼は羽布張りとなっています。胴体の操縦席部分には波除けが備えられており、単フロートと推進式の複葉機の形状をしています。また、設計は当時の輸入機と国産機の折衷であり、カーチス1912年型という輸入機の要素が色濃く反映されています。機体本体とエンジンはカーチス系からの影響を受けつつ、操縦席と補助翼はモーリス・ファルマンMF.7の設計によるものです。将来的に機関銃や無線機を搭載することも考慮されていましたが、それに関しては実際には実現しませんでした。

諸元

日本海軍式水上機の詳細な諸元は以下の通りです。

• - 全長: 8.50 m
• - 全幅: 14.00 m
• - 自重: 540 kg
• - 全備重量: 770 kg
• - エンジン: カーチス O型 水冷V型8気筒（公称75 hp） × 1
• - 最大速度: 80 km/h
• - 航続時間: 4時間
• - 乗員: 2名

参考文献

この水上機に関する詳細情報は、以下の文献で確認できます。

• - 野沢正 『日本航空機総集 愛知・空技廠篇』 出版協同社、1959年
• - 松崎豊一『図説国産航空機の系譜 上』グランプリ出版、2004年

関連項目

また、この水上機に関連する他の航空機としては、陸軍初の国産航空機である会式一号機や、民間初の国産航空機である奈良原式2号飛行機、さらには海軍士官によって独自に作られた磯部式水上飛行機などがあります。飛行の実績は異なりますが、日本の航空機の発展において重要な役割を果たした機体たちです。

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