磯部式水上飛行機

磯部式水上飛行機の概要

磯部式水上飛行機とは、大日本帝国海軍に属する磯部鈇吉機関少佐が設計した水上機のことである。この機体は、滑空機である磯部式1号水上飛行機と動力を装備した磯部式2号水上飛行機の二種類が存在する。

開発の経緯

磯部少佐は1908年（明治41年）に飛行機の研究を始め、1910年（明治43年）には自身の飛行機に関する特許を取得した。1911年（明治44年）には駆逐艦「雷」の機関長から、「姉川」という通報艦の機関長に転任し、呉鎮守府において竹製の骨組みを用いた水上滑空機、つまり磯部式1号を開発した。しかし、この1号機は水雷艇による曳航での発航を試みたものの、設計上の問題によって飛行には失敗した。

その後、磯部少佐は防護巡洋艦「音羽」の分隊長として転任し、横須賀鎮守府で動力付きの磯部式2号機の製作を始める。磯部式2号機は、フランスの航空機設計者アンリ・ファルマンの機体に似た水上複葉機で、空気袋式の単フロートを持っていた。この機体の製作も進み、完成を見たものの、1912年（明治45年）6月に白浜海岸で水上滑走をしていた際に転覆する事故に見舞われ、結局飛行には至らなかった。

磯部少佐のその後

その後、磯部少佐は海軍を退役し、帝国飛行協会と日本グライダー協会の創立に貢献した。第一次世界大戦中には、フランス空軍にパイロットとして従軍し、現地での経験を積むこととなる。彼の活動は日本の航空機の発展にも寄与し、後の航空機技術へと繋がる重要な役割を果たしたと言える。

諸元

磯部式2号機の主要な諸元は以下の通りである。

• - 全長: 8.30 m
• - 全幅: 8.00 m
• - 全高: 2.70 m
• - 自重: 410 kg
• - エンジン: アンザニ扇型 空冷W型3気筒（25 hp） × 1
• - 乗員: 1名

このように磯部式水上飛行機は、日本における航空技術において重要な発展段階を示すものであり、当時の技術水準や挑戦に満ちた開発過程が垣間見える。また、彼の後の活動は、航空機産業の基盤形成にも貢献したことが評価されている。

もう一度検索