日本環境感染学会

一般社団法人 日本環境感染学会

一般社団法人 日本環境感染学会（にほんかんきょうかんせんがっかい、英語名: Japan Society of Environmental Infectious）は、日本国内において、主に医療現場をはじめとする環境における感染制御に関する研究および教育活動を推進する、規模と重要性の高い学術機関です。

組織の概要と役割

本学会は、感染症、特に環境由来の感染リスクの管理と予防に特化した活動を展開しています。医療機関における院内感染対策はもちろんのこと、様々な環境下での感染制御技術の向上、研究成果の発表、そしてこの分野を担う専門人材の育成を使命としています。その活動は、日本の感染対策水準の維持向上に不可欠な役割を果たしています。

学会の会員構成は非常に多様であることが特徴です。医師や歯科医師、薬剤師といった専門職だけでなく、看護師、臨床検査技師、さらにその他のコ・メディカルと呼ばれる多岐にわたる医療専門職が多数参加しており、現場の実践に基づいた幅広い視点からの議論や研究が行われています。これは、実際の感染制御活動が多職種連携によって行われることを反映しており、学会の強みとなっています。

2019年12月時点での会員数は9,487名に上ります。現在の理事長は、NTT東日本関東病院および東京医療保健大学に所属する小西敏郎氏が務めています。

主な活動内容

日本環境感染学会の活動は多岐にわたります。中心となるのは、環境感染制御に関する研究の推進と、その成果を共有・発表する場の提供です。また、この分野の専門家育成にも力を入れています。

学術集会（総会）

年に一度、学術総会を開催しています。この総会は、最新の研究成果や実践事例が発表され、活発な議論が行われる本学会にとって最も重要な学術イベントの一つです。過去には、長崎、横浜、東京といった全国各地で開催されています。

学会誌と刊行物

学会の公式刊行物として、学術誌「環境感染」を発行しています。この学会誌は1986年に創刊され、年間6回発行されています。環境感染制御に関するオリジナルの研究論文や総説などが掲載されており、この分野の研究者や実務家にとって重要な情報源となっています。また、学術総会の講演内容などをまとめた抄録集も年間1回発行しています。

顕彰制度

本学会は、環境感染制御の研究に顕著な貢献をした個人や研究に対し、以下の二つの賞を設けています。

日本環境感染学会賞（木村賞）：環境感染制御に関する優れた論文を対象とし、若手研究者の育成を目的とした賞です。年間2件以内が選考され、受賞者には賞状と副賞として30万円が贈られます。論文掲載時の年齢が45歳以下であることが望ましいとされています。
日本環境感染学会上田Award：こちらも環境感染制御分野での優れた研究を顕彰する賞です。年間1件以内が選考され、受賞者には賞状と副賞20万円が贈られます。論文掲載時の年齢が40歳以下であることが望ましいとされています。

インフェクションコントロールドクター（ICD）認定への関与

本学会は、ICD制度協議会の加盟学会の一つとして、感染制御の専門家であるインフェクションコントロールドクター（ICD）の育成・認定制度に深く関わっています。ICDは、医療現場などで感染制御の実務を担う専門家であり、本学会の活動はICDの質の向上にも貢献しています。

入会案内

日本環境感染学会への入会は随時受け付けています。会員には、環境感染制御に携わる一般会員と、学会の活動を支援する賛助会員の種別があります。2023年現在の年会費は、一般会員が9,000円、賛助会員が一口あたり50,000円となっています。入会に関する事務手続きは、東京都文京区にある一般社団法人学会支援機構内の日本環境感染学会担当事務局が担っています。

近接学会との関係

感染症関連の学術団体としては、日本感染症学会が挙げられますが、こちらは環境中での感染研究よりも、より臨床的な感染症診療に重点を置いている点で、日本環境感染学会とは活動領域において補完関係にあると言えます。

日本環境感染学会は、環境という視点から感染制御にアプローチすることにより、日本の医療安全および公衆衛生の向上に継続的に貢献しています。

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