日本細菌学会

日本細菌学会（にほんさいきんがっかい）

日本細菌学会（にほんさいきんがっかい、英語名：Japanese Society for Bacteriology）は、細菌学分野における日本の中心的な学術組織です。1927年に設立された本学会は、医学、歯学、薬学、獣医学、農学、理学といった多岐にわたる学問分野の研究者や専門家が集結し、細菌に関する学術の発展と普及を目指して活動しています。ICD制度協議会に加盟しているため、医師や歯科医師など、臨床現場で活躍する専門家も多数参加している点が特徴です。

概要と活動内容

本学会の活動は非常に幅広く、細菌学に関する基礎研究から応用研究に至るまでの推進、研究成果の論文発表、そして次世代を担う人材の育成など多岐にわたります。学会が掲げる標語は「細菌との闘い、細菌との共存、細菌の利用」です。この標語には、細菌を単に病原体として排除する対象と捉えるだけでなく、人類の健康維持や産業への応用など、有益な側面を持つ細菌を積極的に活用し、それを通じて人類の繁栄に貢献したいという深い願いが込められています。この理念に基づき、学会では細菌学の多様な側面を探求し、社会への貢献を目指しています。

沿革

本学会の歴史は古く、その起源は1927年に設立された衛生学微生物学寄生虫学聯合学会に遡ります。その後、学会は名称変更を重ねながら組織を確立していきました。

1927年：衛生学微生物学寄生虫学聯合学会として発足。
1929年：日本微生物学聯合会に名称を変更。この際、日本連合衛生学会および日本寄生虫学会が分離・独立しました。
1931年：日本連合微生物学会へと再び名称を変更。
1948年：現在の名称である日本細菌学会に改称され、今日に至っています。

長年にわたり、時代の要請や学問分野の分化・発展に応じながら、学会は細菌学の中心として歩み続けてきました。

組織運営

本学会は、学術活動の推進のため、年1回の総会を開催しています。また、全国に支部が設けられており、地域に根ざした活動も活発に行われています。主な地方支部として、北海道、東北、関東、中部、関西、中国四国、九州に支部があります。

学会の運営を担う代表者には、設立初期には会長が置かれ、著名な研究者である北里柴三郎氏が初代会長を務めました。その後、清野謙次氏、長與又郎氏、秦佐八郎氏など、細菌学や関連分野の泰斗が歴代会長を歴任しました。1964年からは運営体制が変更され、会長に代わって理事長が置かれるようになり、牛場大蔵氏が初代理事長に就任しました。以降、秦藤樹氏、天野恒久氏、竹田美文氏、笹川千尋氏、神谷茂氏、赤池孝章氏など、多くの優れた研究者が理事長として学会を牽引してきました。

学会誌と出版物

学術情報の交換と普及のため、学会は定期的に機関誌を発行しています。主な出版物は以下の通りです。

日本細菌学雑誌：年4回発行される学会の主要な和文誌です。1944年に創刊された歴史ある雑誌で、国内の細菌学研究の成果が集積されています。（ISSN：0021-4930）
Microbiology and Immunology：日本ウイルス学会、日本免疫学会との共同出版により、毎月発行される英文誌です。国際的な視点から、細菌学を含む微生物学、免疫学分野の最新の研究成果を発信しています。

学会賞と専門医認定への関与

研究活動を奨励するため、本学会は複数の学会賞を設けています。これには、浅川賞、小林六造記念賞、黒屋奨学賞などがあり、細菌学の進歩に貢献した研究者や若手研究者を表彰しています。

また、本学会はインフェクションコントロールドクター（ICD；infection control doctor）の認定制度に関与しており、感染制御の専門家の育成と質の向上に貢献しています。

会員制度

本学会への入会は、細菌学および関連分野に関心を持つ研究者や専門家、学生に開かれています。会員種別には正会員と学生会員があり、それぞれ年会費が定められています。支部活動への参加には別途支部費が必要となる場合があります。

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