日本航空サンフランシスコ湾着水事故

日本航空サンフランシスコ湾着水事故

1968年11月22日、日本航空002便（DC-8-62、機体記号JA8032、愛称「志賀」）が、東京・羽田空港からサンフランシスコ経由ニューヨークへ向かう途中、サンフランシスコ湾に着水する事故が発生しました。この事故は、大型航空機としては世界初の操縦ミスによる着水事故として記録されています。

事故の概要

当日のサンフランシスコ湾上空は朝霧が濃く、視程は1.5キロメートル、霧高は90メートルという状況でした。002便はサンフランシスコ国際空港への着陸降下中、午前9時22分（日本時間10月23日午前2時22分）に霧を抜けた際、滑走路ではなく海面が視界に入りました。機長は直ちに復行を試みましたが間に合わず、右車輪から海面に突入しました。

着水地点は、サンフランシスコ空港の滑走路から約5キロメートル、サンマテオ市コヨーテ岬ヨットハーバーから約500メートル沖合でした。幸いにも機体への大きな損傷はなく、浸水による水没も、海底に車輪が届く程度の水深であったため、機体の4分の1が水没した時点で止まりました。

乗客は救命胴衣を着用し、非常口から主翼へ脱出、救命筏に乗り移りました。空港管制塔からの迅速な連絡により、沿岸警備隊が直ちに救助活動を開始し、乗員11名と乗客96名（うち日本人40名）全員が無傷で救助されました。その後、乗客は空港周辺のモーテルで休息をとることができました。

事故原因

事故発生当初は計器異常が疑われましたが、運輸省航空事故調査委員会（当時）は1970年6月30日に、事故原因をパイロットの操縦ミスと断定しました。具体的には、所定の飛行方式からの逸脱が原因であり、その背景には、同型機に装備されている装置の習熟不足と使用頻度の少なさが不適切な操作を招いたと結論付けられました。

事故機のその後

事故機は大きな損傷がなかったため、引き上げと改修工事後、再び運航に復帰しました。しかし、「志賀号」として報道されたことから、愛称を「日高（HIDAKA）」に変更しました。その後、1974年のシンガポール事件では日本赤軍メンバーの移送特別機として使用され、1983年に退役するまで運用されました。

退役後はナイジェリアの航空会社を経て、アメリカの貨物航空会社に引き渡されました。

その他

事故を起こした日本航空002便は、現在も東京国際空港（羽田）発サンフランシスコ国際空港行きの便として運行されています。

脚注

朝日新聞　1968年10月24日紙面

関連項目

アエロフロート機ネヴァ川不時着水事故
USエアウェイズ1549便不時着水事故
パンアメリカン航空006便不時着水事故
ナショナル航空193便着水事故
キャセイ・パシフィック[[航空機撃墜事件]]

外部リンク

* 昭和45年度運輸白書（航空事故）

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