日本製鐵兼二浦製鉄所

日本製鐵 兼二浦製鉄所の概要

日本製鐵 兼二浦製鉄所は、日本製鐵株式会社が運営していた製鉄所であり、1917年に三菱財閥系の三菱製鐵によって朝鮮の黄海道に建設されました。この製鉄所は、1934年の製鉄合同により日鐵の一部となり、約28年間にわたり日本の鉄鋼業に寄与しました。

歴史的背景

製鉄所は、朝鮮半島の西部にあたる兼二浦に位置しています。この地域は、鉄鉱石の供給源となる鉱山が周囲に点在し、製鉄活動に理想的な立地とされていました。1917年の操業開始後、当初は高炉による銑鉄製造から製鋼、鋼材圧延までを一貫して行う銑鋼一貫製鉄所として機能し、大規模な工場へと成長しました。

設備と技術

兼二浦製鉄所は、銑鉄から鋼材製造までの全工程をカバーする設備を備えていました。主な設備には、以下のようなものがあります：

• - コークス炉：石炭を乾留してコークスを生成し、年産は約37万9000トン。
• - 高炉（溶鉱炉）：銑鉄を製造するための炉で、計3基が稼働し、年産は約35万トン。
• - 平炉：銑鉄を精錬して鋼塊を作るための設備で、3基が設置されていました。
• - 圧延設備：鋼材を圧延するための機器もあり、条鋼圧延設備と厚板圧延設備があり、その年間生産能力はそれぞれ7万トンと10万トンでした。

この製鉄所の特筆すべき点は、低リン銑炉が備わっていたことです。低リン銑炉を使用することで、低リン銑や低白リン銑の生産が可能で、年間約3万トンの生産能力を誇りました。

供給元と原材料

原材料である鉄鉱石は、主に黄海道と平安南道から調達され、品質も良好でした。しかし、コークス用の粘結炭は朝鮮半島内での供給が難しく、華北や九州、北海道などからの調達が必要でした。このため、石炭の入荷状況が生産に大きく影響を与えることがありました。

年表

製鉄所の歴史を振り返ると、1912年に三菱合資会社が兼二浦での製鉄所建設を決定した後、1915年に着工し、1918年に操業を開始しています。その後、製鋼や圧延設備の稼働を通じて、日々新たな技術革新を生み出しました。特に、1934年の日鐵発足以降には、製鋼過程の短縮や設備の拡充が進められました。1940年には、製鋼過程に新しい予備精錬炉が設置されるなど、技術の進展が見られました。

終焉とその後

しかし、1945年8月、全溶鉱炉が停止し、日鐵はこの製鉄所の操業を終了しました。戦後は黄海製鉄所に名称が変更され、現在に至っています。

総括

兼二浦製鉄所は日本の製鉄業界において重要な役割を果たしてきた施設であり、その歴史と技術は、今なお多くの人々に記憶されています。

もう一度検索