日本銀行本店

日本銀行本店は、東京都中央区日本橋本石町に位置する、日本の重要な銀行建築です。この建物は、東京の建築遺産50選にも選ばれており、その歴史的価値と建築美から多くの人々を魅了しています。

歴史的背景

この地は、かつて金貨を鋳造する金座の長を務めた後藤家の屋敷でした。しかし、明治維新によって金座は新政府に接収され、貨幣司が設置されました。その後、貨幣司も廃止され、後藤家は屋敷からの退去を命じられました。この場所には、後に日本銀行本店が建設されることになります。

本館

本館は、建築家・辰野金吾によって設計され、ベルギー国立銀行をモデルに1896年に竣工しました。1891年の濃尾地震の教訓から、高橋是清の指示により、建物上部を軽量化し、耐震性を高める工夫が施されました。具体的には、2階と3階部分が煉瓦造石貼りに変更されています。

また、竣工時には貨幣運搬用の水圧式荷物用エレベーター（オーチス製）が設置されました。これは日本で2番目、海外製としては初の導入事例であり、当時の最先端技術が導入されたことを示しています。

1969年には地下室の取り壊し工事中に火災が発生しましたが、幸いにも人的被害はありませんでした。1974年、この建物は国の重要文化財に指定され、その文化的価値が認められました。

本館の平面プランが円形に見えることから、日本の通貨である「円」をモチーフにしたのではないかという説がありますが、日本銀行側はこれを否定しています。竣工当時、日本銀行券は旧字体の「圓」で表記されており、現在の「円」の表記が用いられるようになったのは戦後のことです。

別館と新館

別館は、辰野金吾の弟子である長野宇平治によって設計されました。

新館は、松田平田設計によって1973年に竣工しました。この建物は、SRC造で地上10階、地下5階の構造を持っています。

南分館

南分館には、2階に貨幣博物館、6階と7階に日本銀行金融研究所があります。

関連情報

日本銀行本店は、国立銀行、日本橋兜町、東京駅、三越前駅、国会議事堂など、日本の重要な施設や地域との関連性があります。

参考文献

日本銀行本店の歴史や建築についてより深く知りたい場合は、以下の参考文献を参照してください。

東秀紀「東京駅の建築家 辰野金吾伝」
松葉一葉「帝都復興せり! 「建築の東京」を歩く」

日本銀行本店は、その歴史的背景、建築技術、そして現代の金融における役割という多面的な側面から、日本の文化と歴史を語る上で非常に重要な建物です。

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