日産・シルエイティ

シルエイティとは

シルエイティ（Sileighty）とは、日産自動車の180SXの車体に、同じく日産のシルビア（主にS13型）のフロント部分を接合した車両の通称です。これは、いわゆる「顔面スワップ」と呼ばれる改造の代表例であり、自動車愛好家の間で広く知られています。

元々は非公式な改造車でしたが、その人気を受けて日産自動車が「シルエイティ」の名称を商標登録し、一部では正式な車種名としても扱われるようになりました。

概要

S13型シルビアと180SXは、異なる車種でありながらも車両型式が同じ「S13」であるため、基本構造を共有する姉妹車の関係にあります。このため、パーツの互換性が高く、比較的容易に部品の流用が可能です。

シルエイティの製作は、180SXのフロント部分が破損した際に、リトラクタブルヘッドライトの修理費用を抑えるために、部品の多いシルビアのフロント部分を使用するという発想が原点とされています。また、フロントヘビーとなるリトラクタブルヘッドライトを取り払い、フロントの軽量化を図るという目的もあったと言われています。

1993年にシルビアがS14型にフルモデルチェンジし、車幅が3ナンバーサイズに拡大したことで人気が低迷しました。そのため、S13型を懐かしむユーザーが、フルモデルチェンジされずに販売が継続されていた180SXを購入し、シルエイティへと改造するケースが多く見られました。この改造により、180SXをS13型シルビアのデザインに近づけることができ、人気が高まりました。

シルエイティの製作では、S13型シルビアのフロントバンパー、フェンダー、ボンネット、ヘッドライトなど、Aピラーより前方の外装部品を180SXに移植します。この際、シルビアの方がフロントオーバーハングが短いため、完成したシルエイティは180SXと比較して全長が約4cm短くなります。このままでは道路運送車両法に違反するため、構造等変更検査を受けて車検を取得し直すか、エアロパーツを装着して全長を調整する必要があります。ボディのモノコックはそのまま使用するため、いわゆるニコイチ車両ではありません。

また、シルエイティとは逆に、S13型シルビアをベースに180SXのフロント部を接合した「ワンビア」と呼ばれる改造車も存在します。

歴史

シルエイティの元祖とも言える車両は、1989年8月に三栄書房の自動車雑誌「Option」に掲載されました。これは東京都内のショップが製作した180SX（AT車）に、シルビアのフロント周りを移植した車両で、当時は「シルビア180SX」という名称でした。

その後、自動車雑誌「ホリデーオート」への掲載や、漫画『頭文字D』、ゲーム『グランツーリスモシリーズ』への登場、タカラトミーの自動車玩具「トミカ」での製品化などが、シルエイティの認知度を高める要因となりました。

バリエーション

シルエイティは、元々は180SXにS13型シルビアのフロント部分を接合した車両（RPS13改）でしたが、S14/S15型シルビアのフロント周りを移植した車両も存在します。これらの車種は、S13型とは異なり車体の構造が大きく異なるため、板金作業を伴う大幅な改造が必要となります。しかし、S13型の人気から一定のニーズがあり、アフターパーツメーカーからはこれらの車種への変換用部品も販売されています。

新車販売

1998年5月1日には、愛知県北名古屋市のチューニングショップ「有限会社きっずはあと」が、日産系のディーラーに製作委託したシルエイティの新車を500台限定で発売しました。この車両は、改造車ではなく日産純正の車両として扱われ、全国の日産ディーラーで整備を受けることができました。専用のNIライト、フィンタイプグリル、エアロフォルムバンパー、サイドステップ、専用ロゴなどが標準装備されており、ニスモ製LSDなどの純正オプションも用意されていました。

この「きっずはあと」のシルエイティは、日産自動車から商標登録の使用を認められており、正式名称としての「シルエイティ」として扱われる唯一の事例です。

車名の由来

車名の「シルエイティ」は、前半分の「シルビア」と後半分の「180SX（ワンエイティ）」を組み合わせた造語（かばん語）です。同様に、「ワンビア」は「180SX」と「シルビア」を組み合わせた名称となっています。

関連項目

日産・シルビア
日産・180SX
日産・240SX
日産・ワンビア
日産・240RS
頭文字D
グランツーリスモシリーズ
Option

もう一度検索