日産・240SX

日産 240SX 概要

240SX（ツーフォーティー・エスエックス）は、日産自動車が北米市場向けに販売していたクーペ型の乗用車で、シルビアや180SXの輸出仕様にあたります。「240」という名称は、このモデルに搭載されているエンジンの排気量が2,400 ccであることから由来しています。

この車両は、S10型、S110型、S12型のシルビアの後継車両として登場し、特に北米では「200SX」という名前でも知られています。240SXは、そのスタイリングと走行性能により、多くの支持を受け、「プアマンズ・ポルシェ」と称されたZシリーズと並ぶ存在となりました。そのため、このモデルはかつてのZシリーズの廉価版スポーツカーとしての位置付けがなされています。

240SXは、ファストバックモデルが特に良く評価され、240Z（S30型）の復活としても注目されました。このモデルはダットサンに親しんだ年齢層以外の顧客にも人気があり、ヒット作となったことは記憶に新しいです。なお、240SXは180SXとは異なる独立したモデルとしてカウントされ、輸出台数は180SXの生産台数に加算されません。

初代 S13型（1989年 - 1994年）

240SXの初代モデルであるS13型は、1989年から1994年までの時期に生産されました。このモデルは、2ドアノッチバックおよび3ドアファストバックのボディスタイルが用意され、それぞれ日本モデルのS13型シルビアや180SXに相当します。240SXでは、2ドアモデル（ほぼシルビアに相当）も180SXと同じリトラクタブル・ヘッドライトを採用し、いわゆる『ワンビア』と呼ばれるスタイリングが採られました。

エンジンは、日本市場向けのシルビアや180SXには設定されていないKA24E型の2.4 L直列4気筒SOHCが搭載され、1991年モデルからはDOHCのKA24DE型に変更されます。1992年にはフェイスリフトが行われ、フロントグリルのデザインが一新されるとともに、ボリューム感のあるバンパーが採用されました。最終的に、1994年モデルではコンバーチブルのみが販売されました。

2代目 S14型（1995年 - 1998年）

1994年に発表された2代目S14型は、1995年モデルとして市場に登場しました。このモデルでは、ボディタイプは2ドアのみとなり、3ドアは廃止されています。基本的なデザインは日本市場向けのS14型シルビアと一致していますが、北米市場向けのモデルは安全面を考慮して、5マイルバンパーや大きめのフロントマーカーランプが装備されています。

グレード展開はSE、LE、baseの3種が存在し、上級グレードのSEおよびLEは5穴のホイールを持つ一方、baseは4穴でサンルーフが不装備となっています。また、フレームブレーキは日本仕様の自然吸気モデルと同様の仕様ですが、フロントディスクブレーキの4ポットキャリパーが設定されていないのが特徴です。1997年にはフェイスリフトがあり、ヘッドライトとテールランプが刷新されました。

このように240SXは、S14型で廃止され、S15型に相当するモデルは北米では展開されませんでした。

モータースポーツとその影響

240SXは1990年代のモータースポーツ界でも活躍しました。特にS13型は、エレクトラモーティブのライツィンガー・レーシングからIMSA-GTUクラスに参戦し、フォーミュラDでは吉原大二郎選手がS13型で活躍、2011年にはシリーズチャンピオンを獲得しました。また、240SXはアメリカのドリフト文化の普及に伴い、高い評価を受けており、中古市場の価値も上昇しました。

240SXは、日本向けシルビアや180SXに採用されているCA18DETやSR20DETといったターボエンジンを搭載していないため、現地では人気の高いV型8気筒エンジンへのスワップ例が多数見られます。更に、日本からの輸入によりCA18DETやSR20DET、さらにはRB系エンジンへのスワップも行われています。

このように、240SXは日産のスポーツカーとしてユニークな地位を築き、多くのファンに支持され続けています。

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