日産・ミストラル

ミストラル（Mistral）

ミストラルは、かつて日産自動車が販売していた乗用車で、欧州市場ではテラノIIとして人気を博しました。このモデルは、スペインにある日産モトール・イベリカで製造され、日本向けに改良された後、日産自動車が輸入しました。また、フォードにもOEM供給され、ヨーロッパではフォード・マベリックとしても販売されていました。

車両の特長

ミストラルのシャシは、D21型ダットサントラックやWD21型テラノ・パスファインダーのはしご形フレームを基本にしており、異なるホイールベースが設定されています。フロアパン形状やサスペンションジオメトリーは、欧州独自の仕様が施されており、特に前輪のセルフアライニングトルクが大きく、直進性が良好です。また、高速走行時にはフラットな乗り心地を実現しており、欧州流の足回り設定が特徴とされています。これにより、WD21型テラノとは異なる感覚の運転が楽しめます。

デザインと収納

イタリアのデザイン会社I.DE.Aが手がけた基本のパッケージングとスタイリングは、多くのユーザーに支持されました。ミストラルには2ドア・ショートと4ドア・ロングの2タイプがあり、ロングバージョンには荷室を犠牲にしない工夫を施した3列シートが装備されています。バックドアはユニークな横開き式で、左側にヒンジが配置されている点が他の国産車とは一線を画しています。これは、トヨタ・FJクルーザーにも見られる特徴です。

エンジンとトランスミッション

搭載されているエンジンは、2.7LのTD27Ti型直列4気筒ターボディーゼルエンジンのみです。また、トランスミッションは4速ATが採用され、リアはセンタースルー、フロントにはハイボチェーンを使用したオフセットドライブ構造を採用しています。副変速機にはハイ・ローの2速があり、四輪駆動への切り替えは一般的なパートタイム式です。

年表

• - 1994年6月: 日本向けにR20型ミストラルが発売され、搭載エンジンはTD27B型直列4気筒OHVターボディーゼルで、ボディ形状は4ドアタイプです。
• - 1995年3月: 日産ピーズフィールドクラフトがテラノIIを独自に輸入し、主に右ハンドルのガソリンモデルを販売開始。同年、2ドアモデルもラインアップされています。
• - 1996年2月: ミストラルとして2ドアモデルを追加し、運転席エアバッグやオートマチックポジションインジケーターを標準装備しました。さらに、CMソングにはピチカート・ファイヴが起用され、彼ら自身もCMに出演しました。
• - 1997年1月: エクステリアデザインが進化し、ヘッドライトが角型から丸型に変更されました。
• - 1998年8月: 日本国内向けの生産が終了し、その後は在庫対応のみの販売となります。
• - 1999年2月: 日本国内での販売が完全に終了し、同年には欧州モデルにおいてディーゼルエンジンがTD27TBi型から3.0LのZD30DDTi型へ変更されます。またフェイスリフトも実施され、新型グリルが装着されました。
• - 2005年5月: 欧州市場での生産・販売が終わります。

車名の由来

「ミストラル」という名称は、フランス南東部で吹く地方風に由来しており、その爽やかさをイメージさせます。ミストラルは、設計や機能において印象的な一台であり、今もなお多くの自動車愛好者の記憶に残っています。

もう一度検索