日産・ルネッサ

日産ルネッサ（R'NESSA）の概要

日産自動車がかつて販売していたステーションワゴン、ルネッサ（R'NESSA）は、栃木工場で製造されていました。本モデルは、生産当初から「人間中心」をテーマに開発され、多様なライフスタイルに応えることを目指していました。キャッチフレーズには「パッケージ ルネッサンス、車輪の上の自由空間。」が用いられ、家族向けの車としての側面が強調されていました。

デザインと特徴

ルネッサは、日産の名車ブルーバードをベースにしており、後に登場するプレサージュやバサラとシャシーを共有しています。すっきりとしたスタイリングとアグレッシブなフロントデザインが印象的で、フロントグリルはダイアゴナルメッシュタイプとなっています。両サイドには「R」をモチーフにしたエンブレムが装着されています。デザイン上はファミリーカーとしての機能だけでなく、スポーティな印象も与えています。

ルネッサは「マルチ・アメニティー・ビークル」（MAV）として分類されており、その個性的な立ち位置からメディアにおいてさまざまなジャンルにカテゴライズされました。中にはミニバンやクロスオーバーSUV、ハッチバック、トールワゴンに分類されることもあります。

室内空間と実用性

ルネッサは高床式のデザインを採用しており、室内床面が高い一方で、室内高の不足が課題です。そのため、足を投げ出してリラックスした姿勢での着座が求められるなど、運転の快適性には限界があります。後席には570mmのロングスライド機能があり、前席とのヒップポイントの距離は最大1mを超えることが可能ですが、一部では座り心地が良くないという意見もありました。

エンジンとパフォーマンス

ルネッサには、2リットルのSR20DE型エンジン、ターボ付きSR20DET型、さらに2.4リットルのKA24DE型エンジンが搭載されており、全てのグレードが直列4気筒DOHCエンジンを横置きに採用しています。重量に関しては、エンジンごとに異なる基準を持ち、グレードによっては重量税に差が出る結果となりました。

特に注目すべきは、エコカーとしての側面を持つルネッサEVです。これは、12個のリチウムイオン電池を搭載し、電気自動車としての機能を果たすものでした。通常の走行からの航続距離は約230kmで、それに加え充電時間は約5時間と比較的短いものになっています。

市場での評価

1997年に市場に登場したルネッサは、月販目標6,500台を掲げていましたが、実際の販売は低迷し、最終的には約4万台が生産されました。その評価は賛否が分かれ、高床式デザインに対する批判や乗車の不便さを指摘される一方で、広い後席空間や多用途性は一部のユーザーに支持されました。特にビジネス用途としての利用も多かったのが特徴的です。

競合モデルとの比較

ルネッサは、同時期に存在した日産のアベニールやトヨタのナディア、ホンダのCR-Vなどと競合していました。そのクロスオーバー的な特性からは、他のカテゴリーに属する車両とも競合し、幅広い市場のニーズに応えようとしました。開放的な室内空間とトランクの広さを売りにしていたルネッサは、多様なライフスタイルを持つ家族から一定の支持を集めていました。

今後の展望

残念ながら、ルネッサは2001年に生産終了となり、その後はステーションワゴンとしての役割を担うモデルが他の車種に受け継がれていくこととなりました。しかし、ルネッサが持っていた独自の特性や魅力は、現在も多くのファンに記憶され続けています。

もう一度検索