日産・VQ37VHR

日産・VQ37VHRエンジンの概要

日産自動車が製造するVQ37VHRは、高回転型のV型6気筒エンジンで、次世代自動車としての革新を象徴しています。このエンジンは、2007年8月に北米市場向けのインフィニティ・G37クーペに初めて搭載され、日本国内ではスカイラインクーペのCV36型に採用されました。特筆すべきは、従来の3.5Lエンジンから排気量を200cc増やし、3.7Lとした点です。これにより、ライバルのBMW・3シリーズクーペと競うための走行性能が強化されています。

技術的な特徴

VQ37VHRは、前のVQ35HRをベースにしつつ、35％以上の新設計が施されています。排気量の増加により、出力やトルクは前モデルよりも向上しましたが、新たに導入された可変バルブ機構VVEL（Variable Valve Event & Lift）のおかげで燃費性能も改善されています。また、エンジン内部には水素フリーのDLCコーティングが施されるなど、最新の技術が反映されています。

高回転特性

このエンジンは、レッドゾーンが7,500rpmからの高回転型であり、吸排気系は左右対称の独立型です。この設計により、高回転域では特有の甲高い排気音が特徴となっており、運転者にスポーツカーらしい興奮を提供します。トルク特性は1,500rpmから急激に上昇し、約3,000rpmからはレッドゾーンにかけてほぼフラットな特性を示します。搭載される車種によって、メーカーによるチューニングが異なり、スカイラインはスポーツ寄りの設定、フェアレディZ34型はエンジン本来の性能を引き出すようにチューニングされています。

パフォーマンスと設計

2018年までの時点において、日産・フェアレディZ34型に搭載されたVQ37VHRは、市販される自然吸気エンジンの中で世界最高出力を誇っていました。このエンジンはストック状態で400PS以上の出力を発揮しますが、燃費や耐久性を考慮して、各車種ではセッティングが行われています。例えば、パワーハウスアミューズの手によるECUの再設定や吸排気系の変更によって、合計で390PSを発揮するモデルも存在します。

燃料とオイル

VQ37VHRは、専用の無鉛ハイオクガソリンを必要とし、レギュラーガソリンを使用すると著しい出力低下やその他の問題を引き起こすため、推奨されません。エンジンオイルは、純正の化学合成油やAPI規格の高性能オイルが推奨されています。特に、モービル1オイルが指定される場合もあります。

搭載車種と受賞歴

このエンジンは、日産・スカイラインクーペやインフィニティのさまざまなモデル、さらに日産・フェアレディZにも搭載されています。日産のVQエンジンは1995年から14年間、アメリカの「テン・ベスト・エンジン」に選ばれていましたが、2009年にVQ37VHR型エンジンが最後の選出となりました。

まとめ

VQ37VHRエンジンは、日産自動車の技術革新と高性能エンジン設計の象徴であり、性能を追求するドライバーにとって理想的な選択肢と言えるでしょう。

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