日系ボリビア人の歴史
日系ボリビア人は、日本にルーツを持つボリビアの人々を指します。ボリビアが海に面していない地理的条件から、初期の
日本人移住者は、隣国の
ペルーで契約期間を終えた人々が主でした。彼らの多くは
沖縄県出身で、その他に
岐阜県、
広島県、
神奈川県、
大阪府出身者もいました。1899年、
ラパス地域のマピリ川に91人の
日本人労働者が
ゴム農園に派遣されたのが、その始まりです。その後、
アンデス山脈地域では鉱山や鉄道建設の仕事に、アマゾン奥地では
ゴム農園での労働に従事しました。第一次世界大戦と
世界恐慌の終結は、
日本人労働者の業種転換を促し、
リベラルタや
ラパスなどの都市部で商業を営む人々も現れました。
1930年代には、多くの
日本人がボリビアに定住するようになり、日本から妻を迎えたり、現地女性と結婚したりすることで、コミュニティ内に多様性が生まれました。第二次世界大戦中には、29人の日系ボリビア人がアメリカに送還されましたが、他の地域とは異なり、地方政府が
排日法を制定しなかったため、戦争が日系ボリビア人の生活に与えた影響は限定的でした。
戦後の
1951年、ボリビア政府は海外移住協会を通じて日本からの移民受け入れを検討し、当時1400~1500人の
日本人が居住していました。政府は
日本人難民を歓迎し、1954年以降の協定によって、アメリカ統治下の沖縄や日本本土からの農業移民が活発になりました。戦後の日本における過剰人口の再移住ニーズと、ボリビア政府によるサンタクルス県東部低地開発の意向が一致した結果です。日本政府の資金援助により、コロニア・オキナワとサン・フアン・デ・ヤパカニという二つの移住地が建設されました。これらの移住地は、それぞれ
沖縄県出身者と日本本土出身者という異なるルーツを持ち、現在もそのアイデンティティを継承しつつ、ボリビア生まれの世代へと変遷しています。
言語と宗教
多くの日系ボリビア人は、
スペイン語を日常言語として使用し、日本語を話せる人はごく少数です。宗教に関しては、地域社会の大多数がカトリック教徒ですが、
仏教や
神道を信仰する人もいます。
著名な日系ボリビア人
日系ボリビア人の中には、様々な分野で活躍している人物がいます。
ペドロ・シモセ: 作家、詩人。
ミチアキ・ナガタニ: コンサルタント会社社長、国会議員、大統領候補者。
エルネスト・フレディ・マイムラ: 医師、
ゲリラ戦士。
キューバで医学を学び、
チェ・ゲバラと共に戦いました。
マリー・マエムラ・ウルタード: 社会活動家。フレディ・マイムラの姉であり、『革命の侍』の著者。
エクロル・ソラーレス・マエムラ: 弁護士、マリー・マエムラの息子。『革命の侍』の著者であり、日系ボリビア人史の研究者。
マサカツ・ハイメ・アシミネ・オオシロ: 駐日大使(2007~2009年)。
ルイス・マサハル・ヒガ・トミタ: 駐日大使(2011~2013年)。
新垣まゆみ: 政治家。
参考文献
日系ボリビア人に関する年表
国際日系研究プロジェクト, 全米日系人博物館。
ボリビア日系団体住所録。
福井千鶴,『ボリビアにおける
日系人移住地の歴史的形成と課題』,『国際関係学部研究年報』 第38集 平成29年2月。
ボリビア日系社会の歴史と概況
ボリビア日系協会連合会。
関連項目
コロニア・オキナワ
サン・フアン・デ・ヤパカニ
外部リンク
日系ボリビア人に関する年表 国際日系研究プロジェクト, 全米日系人博物館
ボリビア日系団体住所録
ボリビアにおける日系人移住地の歴史的形成と課題 福井千鶴,『国際関係学部研究年報』 第38集 平成29年2月
ボリビア日系社会の歴史と概況 ボリビア日系協会連合会