日蔭温子

日蔭 温子

日蔭 温子（ひかげ あつこ）は、1954年4月23日に岩手県岩手郡岩手町で生まれた日本の元女子プロゴルファーです。現役引退後も、A級ティーチングプロフェッショナル資格を活かしてゴルフの指導に携わっています。

来歴

岩手町立第一中学校を卒業後、集団就職によって鐘紡に入社しました。中学校時代から続けていたバレーボールでは、会社の女子実業団チームの一員として選手生活を送ります。しかし、家庭の事情により鐘紡を退社することとなりました。

その後、1971年8月に埼玉県にある武蔵カントリークラブ豊岡コースに入社します。ここではキャディ業務に従事し、また、ゴルフ研修生たちの練習を手伝う日々を送りました。このような環境の中で、先輩に誘われる形で初めてゴルフクラブを握ったのが17歳の時です。これが、彼女のゴルフ人生の始まりとなりました。

ゴルフを始めてからわずか約5ヶ月後のこと、クラブ内の社員コンペに参加した日蔭は、そこで優勝を果たします。この出来事が、彼女にプロゴルファーへの道を強く意識させるきっかけとなりました。「2年以内にプロになる」という明確な目標を掲げ、武蔵CCを退社。東京都清瀬市にある忠太ゴルフ練習場に移籍しました。そこでは、フロント業務をこなしながら、業務終了後にひたすらボールを打ち続けるという猛練習の日々を送りました。

プロテストへの挑戦が始まりましたが、1974年春のテストでは惜しくも不合格となります。しかし、諦めることなく努力を続け、同年10月に再び行われた秋のプロテストで見事に合格を果たしました。

1975年、日本女子プロゴルフ協会（LPGA）に入会。この期は岡本綾子らを輩出した実力揃いの「LPGA17期生」として、プロとしてのキャリアを本格的にスタートさせました。

プロゴルファーとしての活躍

プロ転向後、日蔭温子はツアーで着実に実績を積み重ねていきます。そして、1980年の「ヤクルトミルミルレディーストーナメント」で、プロとして初の優勝を飾りました。この初優勝を皮切りに、勝利を積み重ねていきます。

1982年：2勝（公式戦「日本女子オープンゴルフ選手権競技」を含む）
1985年：1勝
1986年：2勝
1987年：6勝（この年の年間獲得賞金ランキングは自己最高位の2位）

特に1987年は、年間6勝を挙げる目覚ましい活躍を見せ、名実ともに女子プロゴルフ界のトップ選手の仲間入りを果たしました。LPGAのツアー制度が施行された後も、その実力は健在でした。

1989年：2勝
1991年：1勝
1992年：2勝（公式戦「日本女子オープンゴルフ選手権競技」を含む）
1993年：1勝

コンスタントに勝利を挙げ続け、多くのファンを魅了しました。

キャリア終盤と引退

1994年頃からは、ツアーへの出場試合数を徐々に減らしていきます。そして2000年以降は、過去の優勝者としての資格で出場できる「日本女子オープンゴルフ選手権競技」に限定してツアー参戦を続けました。2002年の同大会への出場を最後に、長きにわたるツアーでの選手生活に区切りをつけ、現役を引退しました。

その他の活動

日蔭温子は、選手として活躍する傍ら、教育・研究分野にも関わっています。1991年からは、至学館大学健康科学研究所で客員教授を務めています。

また、メディアへの出演経験もあり、ゴルフ番組や情報番組に出演しています。主なものとして、NHK総合テレビの『ふるさとの仲間たち 女王がゴルフと出会う前 ～岩手県岩手町・日蔭温子～』（1997年放送）や、テレビ東京のゴルフ番組『日蔭温子の日立サンデーゴルフ』などがあります。1981年には、岡三証券のCMにも出演しています。

バレーボールからゴルフへと転身し、トッププロとして数々の勝利を挙げた日蔭温子。そのキャリアは、多様な才能と努力によって切り拓かれたものです。

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