日進 (水上機母艦)

軍艦「日進」について

概要

日本海軍の水上機母艦「日進」は、1942年に完成し、特殊潜航艇を搭載できる特異な艦種でした。主に輸送任務を担い、太平洋戦争の戦局において多くの重要な任務に従事しましたが、甲標的母艦としての役割は果たすことなく1943年に沈没しました。艦名の「日進」は、絶え間ない進歩や成長を象徴しています。

「日進」は、明治期から続く日本海軍の艦名の伝統を引き継いでおり、これまでにも幾度か同名の艦が存在しました。特に、日露戦争に参加した春日型装甲巡洋艦の2番艦「日進」は歴史的に有名です。

計画・建造経緯

日本海軍は、第一次世界大戦後に締結された海軍軍縮条約の影響で、新艦艇の建造が制約を受けていました。そのため、日本海軍は条約制限外艦に分類される艦艇を建造し、平時は輸送艦として、戦時には航空母艦へ改造するという方針を取っていました。その流れの中で、日進は千歳型水上機母艦とともに計画されました。

最初は敷設艦として計画されていましたが、その後水上機母艦に変更され、1942年2月に竣工しました。日進の艦体は瑞穂型とほぼ同様ですが、長さと幅は大きく、旋回性能を向上できる設計がなされていました。主機関はディーゼル機関を使用し、28ノットの速力を誇っていました。

主な任務

日進の主な任務は特殊潜航艇の搭載・発進と、高速輸送任務でした。1942年のミッドウェー海戦において、日進は魚雷艇を輸送しましたが、その後の戦局ではいくつかの輸送任務にシフトしました。

特に、ガダルカナル島の戦いでは、戦車や重火器を輸送する役割を果たし、補給を行いました。この期間中、日進は連合艦隊の重要な一翼として、迅速な補給を試みました。

沈没

1943年7月22日、日進はアメリカ軍機の集中攻撃を受け、沈没しました。ブーゲンビル島のブインへの輸送中にその攻撃を受けた日進は、大火災を起こしわずか数時間で沈むこととなりました。この沈没により、艦長や乗員など479名が失われ、日本陸軍の部隊も含めさらに多くの人員が犠牲となる悲劇的な結果を招きました。

まとめ

「日進」はその短い歴史の中で、日本海軍の水上機母艦としての役割を果たそうとしましたが、多くの困難に直面しました。多様な任務をこなしながらも、特に輸送任務において、その存在感を示すことになります。しかし、その運命は悲劇的であり、戦局の変化とともに士気を保つための重要な艦艇だったにもかかわらず、1943年の沈没によってその役目を終えました。日進の歴史は、日本海軍の戦闘と補給の重要性や、その運営に伴うリスクを象徴するものとなりました。

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