春日型装甲巡洋艦

春日型装甲巡洋艦について

春日型装甲巡洋艦とは、大日本帝国海軍が日露戦争前に取得した装甲巡洋艦です。この艦の設計は、当時のイタリア海軍が採用していた前弩級戦艦の特徴を取り入れつつ、装甲を減少させ、速力を増加させたものでした。艦船の名は、日本の春を象徴する「春日」として名付けられました。

歴史的背景

日清戦争後、日本とロシアの間では建艦競争が展開され、その波は南アメリカのチリやアルゼンチンにも広がりを見せました。この時期、南アメリカの国々でも軍艦の建設が進み、イギリスが仲介してチリとアルゼンチン間で建造中の艦船を売却する協定が結ばれました。その中で、ブラジル海軍がイギリスのアームストロング社に発注した艦船がロシアに渡る危険があったため、日本は急遽、イギリスに協力を要請しました。

その結果、1903年にアルゼンチンが発注した包括的な艦船、ジュゼッペ・ガリバルディ級装甲巡洋艦のうち「リヴァダヴィア」と「モレノ」は、内々に日本へ売却されることとなり、「リヴァダヴィア」は春日、「モレノ」は日進と命名されました。

回航と配属

両艦は戦時中の迅速な出航を考慮して、速やかに日本へ回航されることとなりました。開戦直前、ロシア艦隊が追尾する中、イギリス艦隊が彼らを護衛する形で支援を行い、日本への安全な到着が図られました。春日の回航責任者は鈴木貫太郎中佐であり、戦争前に両艦は無事に横須賀港に到着しました。

日本に配属された後、春日は第3艦隊に入り、旅順港閉塞作戦にも参加。特に春日の主砲であるアームストロング製25.4cm砲は威力が強力で、連合艦隊の中でも最長射程を誇り、旅順港内にいるロシア艦隊に大きな影響を与えました。日進と共に参加した日本海海戦でも大勝利を収め、この戦果はアルゼンチン政府も喜ばせたと言われています。

艦形と設計

春日型装甲巡洋艦は、イタリア海軍の前弩級戦艦のデザインを元にしています。船体設計は平甲板型が採用され、主砲は「アームストロング 25.4cm」と呼ばれる強力な砲が持たれていました。艦橋は特徴的な箱型デザインで、立体的構造が強化されています。両側に設けられた煙突は、戦時に必要な速度を確保するため、特別に配置されたものです。

武装と防御

春日の主砲単装式の砲塔は、最大仰角20度で18,000mの射程を持ち、艦体における強力な火力を提供しました。また、副武器として「アームストロング 20.3cm速射砲」や15.2cm砲なども採用し、近接戦闘に備えた装備が整っています。防御面では、舷側装甲が厚く、特に150mmにも達する防護構造を有しており、当時の艦船の中でも優れた防御力を誇りました。

結論

春日型装甲巡洋艦は、設計の巧妙さと高い火力、優れた防御力を兼ね備えた艦船であり、日露戦争における日本海軍の戦力を大きく向上させました。この艦の存在は、その後の艦艇設計にも影響を与え、海戦の歴史に名を残しています。

もう一度検索