日高原子力発電所

日高原子力発電所の計画とその経緯

日高原子力発電所（ひだかげんしりょくはつでんしょ）は、和歌山県日高郡日高町で関西電力によって計画されていた原子力発電施設です。このプロジェクトは、1967年に日高町の町長が原子力発電所の誘致を表明したことから始まりました。しかし、その後の過程では地域住民の意見が大きく影響し、最終的には2005年に計画が中止されることとなりました。

計画の始まり

1967年、日高町の町長が原発の誘致を決定し、これに伴い町議会も賛成意見を示しました。しかし、翌年には阿尾区と比井崎漁協が反対を表明し、この結果、町長は原発誘致を白紙撤回せざるを得ませんでした。その後1975年、関西電力は日高町に対して120万kW級原子力発電所2基の建設を提案し、小浦地区で環境調査を行いたい意向を示しました。

環境調査と地域の反応

小浦区と比井崎漁協は1978年に環境調査の受け入れを決定しましたが、1979年のスリーマイル島原子力発電所事故の影響でこの調査は一時中断されました。1981年には関西電力が環境アセスメントのため陸上調査を開始し、その後の1984年からは海上調査も行われました。調査に対しては漁協や地域住民の間で意見が分かれ、賛成派と反対派が対立し、結論を得ることはできませんでした。

反対運動の高まり

1986年、チェルノブイリ原子力発電所の事故が発生すると、反対運動はさらに活発化しました。1990年には反対派の町長が選出され、以降3期12年にわたって運営に関わっていきます。また、2002年の町長選挙でも反対派候補が当選し、当選直後および2004年に関西電力に対して原発建設の中止を求めました。こうした動きは、地域の方々にとって大きな意味を持つものでした。

計画の中止とその後

2005年、ついに国によって開発促進重要地点の指定が解除され、日高原子力発電所の計画は正式に中止となりました。その後、2013年には日高原子力発電所と、対岸の阿南市に位置する四国電力蒲生田原子力発電所の反対運動をテーマにしたドキュメンタリー映画が制作され、地域の人々の思いや経緯が広く知られることとなりました。

和歌山県内では、日高町に限らず、日置川町（現・白浜町）、那智勝浦町、古座町（現・串本町）にも原子力発電所の建設計画が提案されていましたが、いずれも具体的に進展することはありませんでした。原発の誘致に対する市民の反応や動きは、地域社会における重要な出来事として記憶されています。これらの反対運動は、単に原発の建設に対するものだけでなく、人々の安全や環境への意識の高まりを象徴するものでもありました。

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