旧ハッサム住宅

旧ハッサム住宅：明治の息吹を伝える神戸の異人館

1902年、神戸市中央区に建てられた旧ハッサム住宅は、数々の異人館を手掛けたA.N.ハンセル（Alexander N. Hansell）の設計と伝えられる、風格ある洋館です。インド系イギリス人貿易商J.K.ハッサム氏の邸宅として、北野町に誕生しました。

見どころ：異国情緒と日本庭園の調和

この住宅の最大の特徴は、広大な日本庭園を望む南側のベランダです。1階はアーケード式、2階はコロネード式と異なるデザインが用いられ、洗練された外観を演出しています。明治時代の異人館建築様式を色濃く反映した、貴重な建築物と言えるでしょう。ベイウインドウや鎧戸、ペジメントなど、細部までこだわり抜かれた造りも見事です。

歴史：移築と震災からの復興

1961年、神戸回教寺院から神戸市へ寄贈された後、1963年には元町の山手にある相楽園に移築されました。現在もその美しい姿を見せていますが、1995年の阪神・淡路大震災では、煉瓦積みの煙突が倒壊するなど、大きな被害を受けました。しかしながら、修復を経て、現在もその姿を保っています。震災の際に落下した煙突は、現在、前庭の一角に展示され、歴史の証として静かに佇んでいます。

また、前庭に立つ2本のガス灯は、1874年頃に旧居留地の街灯として設置されたもので、現存する日本最古級のガス灯として貴重な文化財でもあります。これらの歴史的建造物と、美しく整備された日本庭園の調和は、来訪者に深い感動を与えてくれるでしょう。

アクセスと開園情報

旧ハッサム住宅は、相楽園内に位置しています。アクセスは、山陽新幹線新神戸駅から徒歩18分、神戸市営地下鉄西神・山手線県庁前駅、JR神戸線・阪神本線元町駅から徒歩10分と、公共交通機関を利用して容易にアクセスできます。

開園日は相楽園に準じており、毎週木曜日が休園日ですが、祝祭日の場合は開園し、翌日が休園となります。公開期間は年によって異なるため、事前に相楽園への問い合わせが推奨されます。一般的には4月下旬～5月上旬、10月下旬～11月中旬に公開されています。公開時間は午前9時～午後4時30分です。

まとめ：歴史と美しさが融合した空間

旧ハッサム住宅は、単なる建築物としてだけでなく、明治時代の歴史、技術、そして人々の生活を垣間見ることができる貴重な文化遺産です。異国情緒あふれる建物と、静寂に包まれた日本庭園のコントラストは、訪れる者にとって忘れられない体験となるでしょう。神戸を訪れた際には、ぜひ一度足を運んでみてください。

建築概要

建築主: J.K.ハッサム
設計: A.N.ハンセル（推定）
竣工: 1902年（明治35年）
構造: 木造2階建、寄棟造、桟瓦葺、外壁下見板張、ベイウインドウ、鎧戸、ペジメント
延床面積: 397.58m² (1階173.61m²、2階179.73m²、地階5.42m²、附属棟29.18m²、倉庫9.64m²)
所在地: 〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通5-3-1 相楽園内

文化財指定: 1961年6月7日、旧ハッサム住宅（旧所在地：兵庫県神戸市生田区北野町）、附属屋、倉庫、門、ギャラリーが国の重要文化財に指定されています。

周辺情報: 相楽園、船屋形、旧小寺家厩舎、北野町山本通、北野工房のまち、神戸市水の科学博物館など、周辺にも見どころが豊富です。

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