旧五輪教会堂

旧五輪教会堂

旧五輪教会堂は、長崎県五島市久賀島にあるカトリック教会です。この教会堂は、その歴史と独特な建築様式から、国の重要文化財に指定されており、世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一部としても登録されています。

歴史

1881年（明治14年）4月20日、久賀島で最初の教会堂としてカトリック浜脇教会が完成しました。この教会堂は、1931年（昭和6年）に浜脇教会が改築される際、解体され、その資材が五輪地区へと運ばれ、旧五輪教会堂として再建されました。

1985年（昭和60年）2月14日には、長崎県の有形文化財に指定されました。同年6月23日には、旧聖堂のすぐ右隣に新しい聖堂が建設され献堂されました（新聖堂は原則として非公開）。

その後、1999年（平成11年）5月13日には、旧五輪教会堂が国の重要文化財に指定されました。2015年（平成27年）10月1日からは、拝観が事前予約制となっています。

2016年には、世界遺産登録に向けて推薦が一旦取り下げられましたが、禁教期を象徴する「久賀島の集落」に包括する形で再推薦されました。2018年（平成30年）6月30日、世界遺産登録が決定しました。

1985年（昭和60年）には、隣接地にカトリック五輪教会が建てられ、旧五輪教会堂は福江市（現在は五島市）に寄贈され、保存公開されています。

建築

旧五輪教会堂は木造平屋建てで、リブ・ヴォールト天井が特徴的です。設計者は正式な記録がないものの、田ノ浦に住む平山という大工によって建てられたと考えられています。

外観は日本の伝統的な家屋の形態を保ちつつ、内観は初期教会堂の特徴を備えています。玄関には両開きの板戸の中央出入口と、片開きの板戸の左右出入口があります。会堂部側面の窓は、引き戸が壁体の中に引き込まれる形式になっています。

1881年に建設された旧教会堂は、長崎県内では大浦天主堂（国宝）に次いで古い木造教会堂です。移築の際に大きな改変は行われていないため、創建当初の形態をほぼ保っています。ただし、玄関部や主祭壇後方の廊下など、一部は浜脇所在当時の写真と比較すると異なっており、移築の際に変更された可能性があります。

教会の保護者

旧五輪教会堂の保護者は聖ヨゼフです。

所在地

〒853-2172　長崎県五島市蕨町993-11

ただし、教会へのアクセス道路は登山道のような道しかないため、雨天時の訪問は困難です。

その他

旧五輪教会堂は、2024年公開のアニメ映画『きみの色』に登場する旧教会のモデルとして使用されました。

参考文献

三沢博昭『大いなる遺産 長崎の教会』智書房、2000年。ISBN 4434002651。
『長崎遊学2 長崎・天草の教会と巡礼地完全ガイド』長崎文献社、2005年。ISBN 9784888510912。
『復活の島 五島・久賀島キリスト教墓碑調査報告書』長崎文献社、2007年。ISBN 9784888511025。
『「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」構成資産候補建造物調査報告書』長崎県世界遺産に係る建造物調査委員会、2011年。
『「探訪 長崎の教会群」五島列島編 = publisher = 長崎文献社』2018年。ISBN 9784905026846。

外部リンク

旧五輪教会堂 長崎旅ネット
旧五輪教会堂 五島市ホームページ

関連項目

カトリック長崎大司教区
* きみの色

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