早稲田神社 (阿南町)

早稲田神社の概要

早稲田神社（わせだじんじゃ）は、長野県下伊那郡阿南町に位置する歴史ある神社であり、式外社に分類されます。旧社格としては村社にあたります。神社の祭神には、主に大山祇命（おおやまづみのみこと）、応神天皇（おうじんてんのう）、、倉稲魂命（うかのみたまのかみ）などが祀られています。

歴史

早稲田神社の創建は仁寿元年（851年）にさかのぼるとされ、『日本三代実録』には貞観15年（873年）に従五位上を授与された記録が残っています。特筆すべきは、鎌倉時代に鋳造された伊那郡で最も古い銅製の「鰐口」が神社に保存されている点です。この「鰐口」は長野県の宝物に指定されており、陰刻された銘文には「岩寚寺　八王子宮　正応三年五月二十三日　勧進法橋覚舜」と記されています。岩寚寺は早稲田神社の神宮寺であり、「鰐口」は同寺内にあった鎮守八王子宮に奉納されていたものとされています。

神社の再建に関する記録もあり、元和2年（1616年）には三島大明神の再興が行われ、大工や神主の名前が記された棟札があります。また、延宝3年（1675年）には、三島大明神社殿と八幡宮社殿の再建が行われ、さらにその後も何度か社殿の改修や再建が続きました。特に、宝暦年間（1751年から1763年）以降も神域の改正が行われ、祭神である三島大明神に合わせて地名が三島山に変更されたと推測されています。

文化7年（1810年）には、早稲田村の庄屋や神主たちが神社の由緒書を吉田家に提出し、社名を早稲田神社として申請、許可を得ました。明治2年（1869年）には伊那県知事による参詣の際、祭神が大山祇命や八幡神、倉稲魂命であることが確認され、新たに倉稲魂命が祭神として加わることとなりました。さらに、明治5年（1872年）には村社として認可されましたが、その後も社格の昇進を試みましたが、いずれも成功には至りませんでした。昭和9年（1934年）には神社の裏手から古銭が発掘され、さまざまな時代の貴重な貨幣が見つかりました。

境内設備

早稲田神社の境内には、いくつかの重要な建物があります。本殿は南北にそれぞれ一間社流造で、延宝3年（1675年）に再建されました。また、拝殿は間口3間を持ち、奥には覆屋に覆われた本殿があります。舞殿は国の無形民俗文化財に指定されており、「早稲田人形芝居」といった伝統行事が開催される場所となっております。この行事は毎年1月第2日曜日と8月第4日曜日に行われています。

神社内にはまた、推定樹齢1200年の日本杉の大木が存在し、昭和52年（1977年）に阿南町の文化財に指定されています。

アクセスと現地情報

早稲田神社は長野県下伊那郡阿南町西条字三島山2080に位置しており、最寄りの交通手段はJR飯田線の温田駅から約徒歩1時間、距離にして約4.2kmです。周辺地域の文化や歴史を感じる場所として、訪れる価値がある神社です。

もう一度検索